対米貿易摩擦、解決できなければ欧州委が責任を=仏LVMHトップ

4月17日、仏LVMHアルノー最高経営責任者(写真)は、米国の関税措置税を巡る緊張を緩和するため各国政府が早急に対応する必要があるとし、解決策が見つからない場合には「欧州委員会の責任」になるとの見解を表明した。同日の定時株主総会で撮影(2025年 ロイター/Gonzalo Fuentes)
[パリ 17日 ロイター] - フランスの高級品ブランド、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)のベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)は17日の定時株主総会で、トランプ米大統領が輸入品に課している関税を巡る緊張を緩和するため、欧州の各国政府が早急に対応する必要があると訴えた。その上で解決策が見つからない場合には「欧州連合(EU)欧州委員会の責任」になるとの見解を表明した。
アルノー氏は「欧州各国は官僚に任せきりにするのではなく、この交渉を管理するよう努めるべきだ」と発言。トランプ氏に言及することなく、現在の市場の混乱と世界的な貿易摩擦を結び付け、LVMHの事業が打撃を受けるだろうと述べた。
米国の関税が適用された場合、欧州のファッションと皮革製品に20%、スイス製の時計に31%の追加関税がそれぞれ賦課される可能性がある。
アルノー氏は1月、トランプ大統領の就任式に出席後、経済成長と起業家精神を後押しするトランプ氏を称賛し、「楽観的なムード」に言及していた。
それ以降、トランプ氏の通商政策による経済への打撃を巡る投資家の懸念によってLVMHの株価は36%下落し、時価総額で1000億ユーロ(1140億ドル)超を失った。
米国の関税の影響を軽減するためアルノー氏は17日、米国への生産移管を進めることを検討すると繰り返し訴えた。米国で生産している製品は、LVMHグループの年間売上高の25%を占める。
アルノー氏は、交渉がまとまらずに欧州が生産の一部を失うことになれば欧州委が責任を負うことになるとし、他社も米国での生産拡大を検討していると強調した。