ニュース速報
ビジネス

米金融関係者、来年の大型M&A増加予想 次期政権が規制緩和

2024年12月12日(木)13時25分

 米金融関係者によると、トランプ次期政権下では大型合併・買収(M&A)が増える見通しだ。写真はモルガン・スタンレーのM&Aグローバル・ヘッド、トム・マイルズ氏。ニューヨークで11日開催された「ロイターネクスト」会議のパネル討論会で撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)

Anirban Sen Echo Wang

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米金融関係者によると、トランプ次期政権下では大型合併・買収(M&A)が増える見通しだ。

今年は厳しい規制環境で大型M&Aが低迷したが、トランプ氏は10日、連邦取引委員会(FTC)次期委員長にアンドリュー・ファーガソン委員を起用すると発表した。ファーガソン氏は大型M&Aに対する規制を緩和する意向を示している。

モルガン・スタンレーのM&Aグローバル・ヘッド、トム・マイルズ氏はニューヨークで開催された「ロイターネクスト」会議のパネル討論会で「今年は400億ドルを超える取引が1件もない。歴史をさかのぼれば400億ドルを超える取引は例年、何件かあった。大型取引の時代は決して終わっていない。そうした取引の一部が来年復活するだろう」と述べた。

米金融大手ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は10日、来年は株式やM&Aのディールメーキングが10年平均を超えることもあり得るとの見方を示した。

すでに楽観論が高まっている兆しがあり、米広告大手オムニコム・グループは9日、競合の米インターパブリック・グループを総額132億5000万ドルで買収することで合意したと発表した。実現すれば、世界最大の広告代理店が誕生する。

米国の追加利下げもM&Aに寄与するとみられている。過去2年間は金利上昇でレバレッジド・バイアウト(LBO)の資金調達コストが増え、大型M&Aが困難になっていた。

プライベート・エクイティ(PE)業界には、まだ投資されていない資本が約4兆ドルあり、金融関係者は来年のバイアウト急増を予想している。

みずほの投資・法人金融担当米州トップ、マイケル・カッツ氏は「今年後半はPEの取引が復活した。第3・四半期はPEが絡む取引が2022年第2・四半期以降で最高だった」と指摘した。

また、海外投資家が急成長する米国企業に関心を寄せることで、目先、M&Aが増える可能性もある。

マイルズ氏は「特定の国に対して対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が活用されているが、海外からの関心がはるかに強い追い風になるだろう。全体として(CFIUSの審査が)米国への資本流入を鈍らせるとは思わない」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中