ニュース速報
ビジネス

EU経済再生、大規模な投資と改革必要=ドラギ氏報告書

2024年09月10日(火)03時19分

欧州中央銀行(ECB)前総裁で前イタリア首相のマリオ・ドラギ氏は9日、欧州連合(EU)の競争力向上に関する報告書を公表した。フォンデアライエン欧州委員長(右)と記者会見に臨んだドラギ氏、9日撮影。(2024年 ロイター/Yves Herman)

Philip Blenkinsop

[ブリュッセル 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)前総裁で前イタリア首相のマリオ・ドラギ氏は9日、欧州連合(EU)の競争力向上に関する報告書を公表した。EUが米国や中国に追いつくには、より協調的な産業政策と、より迅速な意思決定、大規模な投資が必要と指摘した。

EUの執行機関である欧州委員会は1年前、世界的な摩擦が激化する中でEUがどのようにグリーン化を進め、デジタル経済の競争力を高めるべきかについて、ドラギ氏に報告書をまとめるよう依頼した。

ドラギ氏はブリュッセルでの記者会見で「現在の状況は非常に憂慮すべきものだ」と言明。長期にわたる欧州の成長鈍化を無視してきたことについて「もはや無視することはできない。状況は変わっている」とした。

約400ページに及ぶ報告書の冒頭でドラギ総裁は、EUは年間7500億─8000億ユーロ(8290億─8840億ドル)の追加投資が必要と指摘した。これは域内総生産(GDP)の最大5%に早津し、第2次世界大戦後の欧州再建に向けたマーシャルプランの1─2%を大きく上回る。

EU諸国はすでに新たな現実に対応しているが、連携不足のため効果は限られているとした。

「EUの取り組みを最も差し迫った問題に集中し、共通の目標の下で効率的な政策調整を確保し、より迅速に行動したい加盟国はそれができるような新しい方法で、既存の統治手続きを活用する必要がある」と提起した。

必要な投資額の一部は既存の加盟各国やEUの財源で賄われるものの、新たな共通財源の確保が必要になるとの見解を改めて示した。

これに対し、ドイツのリントナー財務相は共同借り入れではEUの問題は解決しないとし、これに同意しない考えを示した。

また、複数のアナリストはEUはドラギ氏の提案に消極的な姿勢を示す可能性が高いと指摘。「ドイツとフランスの政治的不透明感、そして他のEU加盟国間の長年の分裂が、ドラギ氏が提起する統合に向けた前進の妨げとなる可能性がある」との見方を示した。

EUはロシア産の安価な天然ガスを確保することができず、エネルギー価格の上昇に対処するのに苦慮しており、もはや海外市場に頼ることはできないとの認識を示した。

EUはイノベーションを促進しエネルギー価格を引き下げる一方で、脱炭素化を継続し、必須鉱物資源で他国、特に中国への依存を減らし、防衛投資を増やす必要があると訴えた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

「日本の安定性」に魅力の外資系企業、63%で過去最

ビジネス

LSEG、40億ドルの自社株買い計画 エリオットが

ワールド

香港活動家の父親に禁錮8月、保険解約で国安条例適用

ワールド

香港の民主派紙創業者、詐欺の有罪取り消し 高裁が異
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    最高裁はなぜ「今回は」止めた?...トランプ関税を違…
  • 5
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 8
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 9
    2月末に西の空で起こる珍しい天体現象とは? 「チャ…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 9
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中