ニュース速報
ビジネス

豪中銀、3会合連続で金利据え置き 総裁「リスクは絶妙に均衡」

2024年03月19日(火)16時02分

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は19日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。写真は豪中銀本部で2018年2月に撮影(2024年 ロイター/Daniel Munoz)

Wayne Cole Stella Qiu

[シドニー 19日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は19日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。据え置きは3会合連続。

中銀は、政策についてまだ何も決定しておらず何も排除していないとし、引き締めバイアスを弱めた。前回は「金利のさらなる引き上げを排除することはできない」としていた。

中銀が景気減速に伴い、インフレ率が目標に向けて低下しているとの自信を強めていることが浮き彫りになった。

中銀は声明で「インフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻す最も確かな金利の道筋は依然として不透明だ。理事会は何も決定しておらず何も排除していない」と表明した。

ブロック総裁は理事会後の会見で、政策が中立にシフトしたかどうかについては明言を避けつつ、リスクは「絶妙に均衡している」と述べた。

「われわれにできるのは慎重に行動することと、リスクがどちらかの方向に動くと判断した場合の行動に備えることだ」と指摘した。

データを注視する必要があるとし「事態がどこに向かっているのか、われわれの評価を変えるのか、変化の原動力となるのかを見極めなければならない」と述べた。

中銀は昨年11月に25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施。インフレ率はここ数カ月で鈍化し、消費者需要も著しく冷え込んでおり、市場は金利据え置きを予想していた。

<豪ドルは下落>

豪ドルは0.6%下落し、1豪ドル=0.6518米ドル。3年債利回りは7ベーシスポイント(bp)低下の3.687%。市場が予想する今年の利下げ幅は37bpから43bpに拡大した。

1月のインフレ率は3.4%で2年ぶり低水準だった。中銀のインフレ目標は2─3%。

昨年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.2%増にとどまった。個人消費は横ばい。失業率は4.1%と、中銀の予想以上のペースで上昇している。

IGのアナリストは「豪中銀は6月の理事会で引き締めバイアスを全て取り除いた後、8月に25bp利下げをし、11月に追加利下げを行い、今年末時点で政策金利は3.85%になるだろう」と予想した。

オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)とゴールドマン・サックスは、豪中銀が引き締めバイアスを排除し、中立スタンスにシフトしたと指摘。一方、ANZはバイアスの弱体化がさらに進んだとし、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)はトーンの変化について「スタイルの微調整」と表現した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英外相、ハマスにガザ停戦案合意呼びかけ 「正しい

ワールド

ウクライナ大統領、武器供与の加速訴え NATO事務

ワールド

英、25年までに中国製の監視装置撤去へ 安全保障の

ワールド

イスラエル首相らに逮逮捕状準備か、ICC 政府内で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 10

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中