ニュース速報
ビジネス

ダイハツ新社長にトヨタの井上氏、現社長・会長退任 認証不正で体制刷新

2024年02月13日(火)18時09分

 2月13日 トヨタ自動車と子会社のダイハツ工業は13日、ダイハツの新社長にトヨタの井上雅宏氏(現中南米本部長)が就任すると発表した。写真はダイハツとトヨタのロゴで、2017年10月に都内で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Maki Shiraki

[東京 13日 ロイター] - トヨタ自動車と子会社のダイハツ工業は13日、ダイハツの新社長にトヨタで中南米本部長を務める井上雅宏氏が就任すると発表した。トヨタからは社長のほか、副社長、取締役も新たに送り込む。ダイハツの奥平総一郎社長と松林淳会長ら取締役計5人が退任し、会長職は廃止する。いずれも3月1日付。

経営体制を刷新し、認証取得不正の再発防止に取り組む。ダイハツの事業領域については、軽自動車に軸を置き、海外事業はトヨタからの委託中心に検討を進める。

井上氏とともに会見したトヨタの佐藤恒治社長は、井上氏について「新興国を中心に言葉の壁も乗り越えながら、かなり厳しい事業環境の中でもコミュニケーションを大切にして取り組んできたリーダー」と評価。ダイハツの現場ともコミュニケーションを密に図り、再発防止に取り組めると期待を込めた。

不正の背景には、トヨタから現場への重圧もあったと社内外から指摘されているが、佐藤社長は幹部の人選について「(出身が)トヨタから、ダイハツからということよりも、現場で経営を指揮することを大事に考えた時に適任者は誰かということで、グループ全体の中から人選した」と述べた。

ダイハツの不正を巡っては、第三者調査委員会が問題の真因は過度な「短期開発の推進」などと指摘し、その責任は「経営陣にある」と結論づけていた。だが、佐藤社長は、今回の経営体制変更は「人事的な処分ではない」と説明。奥平氏本人からは辞任の意向があったとも明かしたが、「引責辞任ではない」と話した。

佐藤社長はまた、ダイハツへの「負荷を適正化する」として同社の事業領域を「軽自動車に軸を置いた会社と定め、海外事業は企画・開発・生産をトヨタからの委託に変更する方向で詳細な検討を進める」とした。将来的には「小型車を中心にラストワンマイルまで視野に入れたモビリティ・カンパニーという役割を担えるよう、あるべき姿を検討していく」と語った。

入社以来、「約半分が新興国」での勤務という井上氏は、相手の信頼を得るために自ら話しかけることを意識してきたといい、ダイハツでも「自ら現場に出向き、自分から話しかけて信頼を得て、現場の本音の話を聞くことから始めたい」と意気込みを語った。

ダイハツは、スズキやいすゞ自動車も参画する商用車技術開発会社「CJPT」から脱退し、「再発防止に最優先で取り組む」(井上氏)ことも明らかにした。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏7月消費者物価、前年比+2% 利下げのハー

ワールド

アングル:ガザ病棟で急増する乳児の栄養失調、「私の

ビジネス

日鉄、USスチール貢献は9カ月で800億円 今期は

ビジネス

日本製鉄、株式を5分割 最低投資金額6万円程度に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中