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NY市場サマリー(4日)米債利回り低下受けドル下落、株反発

2023年10月05日(木)07時34分

<為替> 米債利回りの低下を受け、ドルが下落した。経済指標がまちまちとなり、米経済に軟調な部分があることが示されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が年内にあと1回の利上げを実施するとの観測が一段と後退している。

こうした中、円は「介入ライン」と考えられている1ドル=150円からから遠ざかり、底堅く推移。終盤の取引でドル/円は149.04円と、ほぼ横ばいとなった。

前日のニューヨーク外為市場で、ドル/円は2022年10月以来の高値となる150.165円に上昇した後、急速に反転し、一時147.30円まで下落するなど乱高下した。

マネックスUSA(ワシントン)の外為トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「ドル/円は現在、3営業日前の水準にかなり近いところで取引されている。こうしたことを踏まえると、前日に政府・日銀は介入していないと考えている」とし、「心理的な節目となる1ドル=150円のラインを触れたことで市場が過剰に反応したのだろう」と述べた。

神田真人財務官は4日、首相官邸で岸田文雄首相と面会後、記者団に対し、首相とは経済一般の話をしたと述べ、3日のニューヨーク外国為替市場での為替介入の有無については「ノーコメント」と語った。

日銀の金融市場データによると、政府・日銀は3日に為替介入を行っていない可能性が高い。

主要6指数に対するドル指数は0.3%安の106.69。

企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)発表の9月の全米雇用報告で民間部門雇用者数の増加数が予想を大きく下回ったことでドル指数は軟調となったが、その後、商務省発表の8月の製造業新規受注が予想を上回って増加したことで、下げ幅を縮小した。

ユーロ/ドルは0.5%高の1.0515ドル。英ポンド/ドルは0.6%高の1.2149ドル。

ニュージーランドドルは対米ドルで一時0.5871米ドルと、約1カ月ぶりの安値を付けた。ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は4日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を5.5%に据え置くことを決定。これまでの利上げが想定通り支出とインフレを抑制しているとの見解を改めて示した。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 長期国債利回りが16年ぶり高水準から低下した。FRBによる高金利長期化観測を受け、利回りは急上昇基調にあり、30年債利回りは一時5%を突破していた。

ただ、この日に発表された経済指標は、債券売りをやや和らげる材料となった。

オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した9月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は8万9000人の増加で、ロイターがまとめた予想の15万3000人を大きく下回り、2021年1月以来約2年半ぶりの小幅な伸びとなった。

指標となる10年債利回りは4.884%、30年債利回りは5.011%と、ともに2007年以来の高水準に達した。終盤は4.737%、4.878%に低下した。

2年債利回りは5.050%だった。9月21日に付けた06年7月以来の高水準となる5.202%を下回っている。

2年債と10年債の利回り格差はマイナス30bpに縮小した。3月、7月時点ではマイナス111bpまで拡大していた。

アナリストらは、景気低迷の確実な兆候が見られたり、金利上昇が他の重大な市場混乱につながるなどした場合、長期債への売りは反転すると予想している。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 主要株価指数が反発して取引を終えた。最新の経済指標で9月の米民間部門雇用者数の伸びが予想を下回ったことを受けた。

ナスダック総合が1%超上昇し、指数の上げを主導した。

S&P総合500種の主要セクターでは一般消費財が約2%高と上昇率が最大だった。通信サービスと情報技術も上げが目立った。米国債利回りが16年ぶりの高水準から低下したことが支援した。

企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が4日発表した9月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は8万9000人の増加で、ロイターがまとめた予想の15万3000人を大きく下回った。

これを受け、利上げや金利高止まり長期化を巡る投資家の懸念が緩和した。

ウェルススパイア・アドバイザーズの上級副社長兼アドバイザーのオリバー・パーシェ氏は「テクニカル的にはおそらくやや売られすぎだ」と語った。このところの売りでS&P500は200日移動平均線付近まで下落していた。

パーシェ氏は「9月にストラテジストと投資家の見方に変化があった。金利は長期にわたって高水準にとどまり、米連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げに踏み切るという考えは虚構であるということがようやく浸透したようだ」と語った。

同日発表された別の指標では、8月の製造業新規受注が前月比1.2%増と、伸びが予想の0.2%を大きく上回った。市場では6日発表される米雇用統計が注目される。

この日はアマゾン・ドット・コムなど一部の大型株が買われた。

フォード・モーターは第3・四半期の米自動車販売台数が約8%増加したものの、株価はほぼ横ばいだった。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> FRBによる利上げ局面が長期化するとの観測が根強い中で軟調地合いが継続し、8営業日続落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比6.70ドル(0.36%)安の1オンス=1834.80ドルとなり、約7カ月ぶりの安値となった。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ガソリン在庫の急増で需給引き締まり観測が後退し、急反落した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前日比5.01ドル(5.61%)安の1バレル=84.22ドルと、中心限月としては8月31日以来、約1カ月ぶりの安値となった。12月物は4.89ドル安の82.55ドル。

米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した9月29日までの1週間の米石油在庫統計によると、ガソリン在庫は650万バレル増と、市場予想の20万バレル増を大幅に上回る積み増しとなった。原油は前週比220万バレル減と同 予想の50万バレル減を上回る取り崩しとなったものの、ガソリン在庫の急増が弱材料視され、原油売りが活発化。また、WTIの受け渡し拠点である米オクラホマ州クッシング 原油貯蔵所の在庫が2210万バレルと8週間ぶりに増加に転じたことも圧迫要因となり、相場は急落した。

ロシア紙コメルサントが4日、匿名の消息筋の話として、ロシアが先月導入した燃料輸出禁止措置を数日以内に緩和する用意があると報じたことも相場を下押しした。一方、インタファクス通信によると、ノバク副首相は、同措置の期限は設定されておらず、価格が安定し国内の供給不足が解消されるまで継続するとの方針を示した。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 149.12/149.13

始値 149.02

高値 149.14

安値 148.77

ユーロ/ドル NY終値 1.0503/1.0507

始値 1.0503

高値 1.0532

安値 1.0484

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 88*14.00 4.8627%

前営業日終値 87*12.00 4.9370%

10年債(指標銘柄) 17時04分 93*09.00 4.7350%

前営業日終値 92*25.00 4.8020%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.75 4.7261%

前営業日終値 99*07.00 4.8030%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.75 5.0540%

前営業日終値 99*23.13 5.1480%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33129.55 +127.17 +0.39

前営業日終値 33002.38

ナスダック総合 13236.01 +176.54 +1.35

前営業日終値 13059.47

S&P総合500種 4263.75 +34.30 +0.81

前営業日終値 4229.45

COMEX金 12月限 1834.8 ‐6.7

前営業日終値 1841.5

COMEX銀 12月限 2114.6 ‐23.1

前営業日終値 2137.7

北海ブレント 12月限 85.81 ‐5.11

前営業日終値 90.92

米WTI先物 11月限 84.22 ‐5.01

前営業日終値 89.23

CRB商品指数 275.4337 ‐6.0530

前営業日終値 281.4867

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