ニュース速報

ビジネス

カナダ企業のコスト転嫁が加速、インフレ助長する恐れも=中銀副総裁

2023年10月04日(水)09時08分

 カナダ銀行(中央銀行、写真)のビンセント副総裁は10月3日、新型コロナウイルスのパンデミック以降に企業が増大したコストを消費者に転嫁する動きが強まっており、インフレを助長させかねないとの懸念を示した。2017年5月撮影(2023年 ロイター/Chris Wattie)

Steve Scherer David Ljunggren

[オタワ 3日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のビンセント副総裁は3日、新型コロナウイルスのパンデミック以降に企業が増大したコストを消費者に転嫁する動きが強まっており、インフレを助長させかねないとの懸念を示した。

中銀は9月6日の会合で政策金利を5%に据え置くことを決め、カナダ経済は成長が弱まる局面に入ったと述べた。ただ物価圧力が根強い場合は、追加利上げに踏み切る可能性があるとも強調した。

今月25日の次回会合後には、最新の経済物価見通しが公表される。

こうした中でビンセント氏は、パンデミックで生じた値上げはより頻繁化し、上げ幅は通常より大きくなったと指摘。「国内外で見られるこの企業の価格設定行動は、われわれが目にしている予想外に強い物価上昇率と直接つながっている」と説明した。

さらにビンセント氏は、カナダ経済にとって最大のリスクは恐らくこうした価格設定行動の永続化になると警鐘を鳴らした。

中銀は物価上昇率について、次第に減速して2025年半ばまでに目標の2%に収まると想定している。しかしビンセント氏は、まだ困難な時期を抜け出していないのは明らかで、異例なほど大きな不確実性が中銀の見通しに影を落とし続けていると述べた。

カナダの8月の物価上昇率は前年比4.0%と、ガソリン価格の上昇を背景に7月の3.3%から加速。昨年3月からの計10回にわたる利上げでも、その効果がまだ十分に物価動向に伝わっていない可能性がうかがえる。

ビンセント氏によると、企業は今後もパンデミック前より大幅かつ頻繁な価格変更を実施する見込み。「最近の一部投入コストの減少が過去2年の値上げと同じ幅とスピードで価格に転嫁されるかどうかはまだ分からない」という。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、パキスタンによる国境全域での攻撃発表 パキ

ビジネス

日経平均は続伸、米英貿易合意や円安を好感 TOPI

ビジネス

日本製鉄、今期純利益は42%減の見通し 市場予想比

ビジネス

リクルートHD、今期10%増益予想 米国など求人需
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中