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米コアPCE価格指数、8月の伸び2年ぶり4.0%下回る 基調圧力軽減

2023年09月30日(土)03時59分

米商務省が29日発表した8月の個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増加した。2022年3月撮影(2023年 ロイター/Andrew Kelly)

[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した8月の個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが前年同月比3.9%と、前月の4.3%から減速し、2021年6月以降で初めて4.0%を下回った。基調的なインフレ圧力の軽減が示されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が次回10月31─11月1日の会合でも政策金利を据え置く可能性がある。

コアPCE価格指数は前月比で0.1%上昇。伸びは7月の0.2%から鈍化し、20年11月以来の小ささとなった。エコノミスト予想は0.2%上昇だった。

ただガソリン価格の高騰により、PCE価格指数は前年同月比で3.5%上昇し、伸びは7月の3.4%から拡大した。前年同月比での上昇率は昨年の比較ベースが低かったことも反映している。前月比では0.4%上昇。7月は0.2%上昇だった。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク州)のチーフ・エコノミスト、ルベーラ・ファローキ氏は「今後は経済成長ペースが鈍化すると同時に、物価上昇圧力は一段と緩和していく予想される」とし、「FRBは年内は据え置く可能性がある」と指摘。

ブリーン・キャピタル(ニューヨーク)のシニア・エコノミック・アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「物価情勢に進展が出ていることが示唆された」とし、「FRB当局者が金利をどこまで引き上げなければならないかよりも、金利を現在の高い水準にいつまで維持するかに焦点を移す段階に入った」と述べた。

トレードステーションの市場戦略担当グローバル責任者、デビッド・ラッセル氏は、コアPCE価格指数の前年比の伸びが4.0%を下回ったことは、米10年債利回りの上昇の抑制につながるとの見方を示している。

<新たな「スーパー・コア」インフレ指標導入>

商務省は8月の統計から、食品・エネルギー・住宅を除くPCE価格指数のほか、エネルギー・住宅を除くPCEサービス、という新たな物価指標を導入。いわゆる「スーパー・コア」インフレ指標とされる。

食品・エネルギー・住宅を除くPCE価格指数は0.1%上昇。前月は0.2%上昇だった。

エネルギー・住宅を除くPCEサービスは0.1%上昇。前月は0.5%上昇だった。

政策当局者は、インフレとの戦いの進捗状況を見極めるため、スーパー・コア指数に注目しているという。

<個人消費増加、貯蓄率は低下>

8月の個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増加した。7月は前月比0.9%増と、前回発表の0.8%増から上方改定された。ロイターがまとめた市場予想は0.4%増だった。個人消費は米国の経済活動の3分の2超を占める。

個人消費増加の一部は物価上昇を反映した。米エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は8月の第3週に1ガロン=3.984ドルと今年に入ってからの最高値を付けた。7月の第3週は1ガロン=3.676ドルだった。

インフレ調整後の個人消費支出は0.1%増。前月は0.6%増加した。エコノミストの間で、個人消費は第2・四半期に減速したものの第3・四半期には再び加速するとの見方が出ている。

所得は0.4%増加。労働市場が引き続き引き締まっていることを背景に、賃金が0.5%上昇したことで押し上げられた。

ただ家計が消費のために貯蓄を取り崩している実態も判明。貯蓄率は3.9%と、前月の4.1%から低下し、昨年12月以来の低水準となった。

ガソリン価格の上昇に加え、貯蓄の目減りや学生ローン返済の再開などで今後の消費支出が圧迫される可能性がある。

BMOキャピタル・マーケッツ(サンフランシスコ)のチーフ・エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「景気後退(リセッション)が差し迫っていることを示唆するような個人消費の大幅な減少の兆候は出ていない」としながらも、「エネルギー価格と借入コストの上昇のほか、所得の伸びの鈍化などの消費に対する圧迫要因が増大する中、ストレスの兆候は間違いなく高まっている」と述べた。

ロイター
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