ニュース速報

ビジネス

アングル:解散・総選挙は買い材料、過去は高確率で日本株上昇

2023年05月30日(火)15時56分

 日本株がバブル後高値の水準まで上昇する中、一段高を目指す材料として解散・総選挙が注目されている。写真は東京証券取引所で2020年10月撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

平田紀之

[東京 30日 ロイター] - 日本株がバブル後高値の水準まで上昇する中、一段高を目指す材料として解散・総選挙が注目されている。過去のケースでは、高い確率で日本株が上昇したためだ。解散の有無は岸田文雄首相の胸の中だが、市場の好反応を得るには、追い込まれ解散の雰囲気を作らず、政策の継続性を示せるかが鍵となる。

<日経平均は8回で「全勝」>

2000年以降の解散は8回あり、日経平均は全勝、TOPIXは7回株高となっている。解散前日終値から投開票日直前の終値までの平均上昇率は、それぞれ5.2%、4.1%。29日終値でみれば、日経平均は3万2500円が視野に入る。

「過去の例から、与党勝利での株高は刷り込まれている」と、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは指摘する。永田町では解散・総選挙の思惑に浮足立っているが、株式市場ではむしろ歓迎ムードすら漂う。過去の例では株高につながった「実績」があるためだ。

「海外勢は、国内の投資家より選挙に敏感」と、りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは話す。5月に入って海外勢の先物買いは増加基調にあり、「解散を織り込む動きも入っていそうだ」(外資系証券のストラテジスト)との見方も出ている。

<大相場は「変化」がテーマ>

過去の大相場では、選挙で「変化」の気運が高まったという共通点がある。2005年は郵政民営化、09年は政権交代、12年は政権交代とアベノミクスが、それぞれテーマになった。とりわけ05年と12年は、選挙後も株高基調が継続した。

17年の選挙では、日経平均が16連騰する場面があった。世界景気の回復が意識される中で、14年と同様にアベノミクスの「継続」が意識され、世界の景気敏感株として海外勢の関心が集まった。

「変化」はキーポイントだが、政治の安定が揺らいでしまうと、市場の評価は高まりにくい。2003年の衆院選では年初来高値をつける場面もあったが、野党・民主党が勢いを増す中で海外勢は買いを手控え、米株安などが重しになってTOPIXは唯一の「黒星」を付けた。

<「継続」型の株高に期待>

今回は大相場となった05年、09年、12年のような「変化」の気運が高まっているわけではない。しかし、足元の経済や市場環境は株価にはポジティブだとして、「継続」型での株高を期待する声が多い。

岸田政権下では、海外の半導体企業の誘致のほか、中国依存からの脱却、貯蓄から投資、東証による企業改革などの取り組みがあったとし、「最初こそ迷走したが、直ぐに修正した。悪いことは起きておらず、路線を変えない方が市場にはフレンドリー」だと、マネックスの広木氏はみる。

「自民党大勝なら、外国人はより買ってくるだろう」と、いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は予想。持続的な賃上げを担保するような政策があれば株価にプラスだとして、3万3000円程度の株高もあり得るとみている。

一方、防衛費増額や少子化対策の財源確保として増税を打ち出すようなら、株価にマイナスとの声もある。「改革志向の強い日本維新の会が野党第一党に躍進するほど勢い付くようなら、増税議論が浮上しやすい」(りそなAMの黒瀬氏)という。

岸田首相が総理秘書からの更迭を決めた長男の問題も、解散イコール株高のシナリオに水を差しかねない。野党が批判を強める中、国内証券のストラテジストは「追い込まれ解散のイメージが着きかねない」と指摘する。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米労働生産性、第3四半期は 4.9%上昇 2年ぶり

ワールド

米の気候条約離脱は「自殺行為」、米経済に影響も 国

ワールド

ゼレンスキー氏、安保文書「準備整う」 トランプ氏と

ビジネス

フィッチ、25年の米成長推定値引き上げ 26年はイ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中