ニュース速報

ビジネス

中国11月不動産投資、前年比19.9%減 過去最大の落ち込み

2022年12月15日(木)15時54分

中国国家統計局が15日発表した1─11月の不動産投資は前年同期比9.8%減と、1─10月の8.8%減から落ち込みが加速した。写真は2017年7月、北京で撮影(2022年 ロイター/Jason Lee)

[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表したデータに基づきロイターが算出した11月の不動産投資は前年同月比19.9%減と、2000年の統計開始以来最大の落ち込みとなった。不動産部門の支援策が相次いで打ち出されたが、新型コロナウイルス関連規制に伴う需要低迷が響いた。

減少は9カ月連続。10月は16%減だった。

1─11月の不動産投資は前年同期比9.8%減と、1─10月の8.8%減から落ち込みが加速した。

来年は新型コロナ関連規制の緩和や不動産部門の支援策が効果を表し、市場心理が徐々に回復するとアナリストは予想している。

貝殻研究院のアナリスト、劉麗傑氏は「今年の市場の低迷は前回の高成長局面からの後退で、不動産会社を巡るリスクの波及や新型コロナの流行による頻繁な混乱により深刻化した」と分析した。

住宅引き渡しの進展に伴い消費者心理が改善されるため、2023年は住宅需要が徐々に高まると述べた。

中国政府は過去数週間に、不動産開発業者の資金繰り難を和らげるための支援策を強化しており、人民銀行(中央銀行)も金融機関に対し、開発業者の社債が購入できるよう低利の資金を供給する見通し。

これらの措置を背景に住宅ローンを含む家計向け融資は11月に2627億元(377億5000万ドル)に増加。10月は180億元減少していた。

ロイターの算出によると、11月の不動産販売(床面積ベース)は33.3%減と、10月の23.2%から減少幅が拡大。17カ月連続の減少だった。

1─11月の不動産販売は前年比23.3%減。1─10月は22.3%減だった。

新規着工(床面積ベース)も38.9%減少し、1─10月の37.8%減からマイナス幅が拡大した。

不動産デベロッパーが調達した資金は25.7%減。1─10月は24.7%減だった。

不動産販売の2桁の減少は9カ月連続となった。

市場は新型コロナ関連規制の緩和を歓迎しているが、一部のアナリストは需要が弱いため不動産部門は緩やかなペースでしか回復しないとみている。

ゴールドマン・サックスのアナリストは「人口動態の基調が厳しいことや、政策当局がこれまで『住宅は住むためにあり、投機のためではない』と主張してきたことを考慮すると、不動産部門の回復は緩やかで険しいものになるという見方は変わらない」とリポートで指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エアバス、受注数で6年ぶりボーイング下回る可能性=

ワールド

EU、27年までのロシア産ガス輸入全面停止へ前進 

ワールド

アングル:中東ファンドがワーナー買収に異例の相乗り

ワールド

タイ・カンボジア紛争、トランプ氏が停戦復活へ電話す
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的、と元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡…
  • 5
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中