ニュース速報

ビジネス

訂正IMF、米中・世界の経済成長予測を下方修正 コロナが重し

2022年01月26日(水)14時15分

1月25日、国際通貨基金(IMF)はた世界経済見通しを公表し、米国、中国、世界の経済成長予測を下方修正した。写真は2016年10月、ワシントンで撮影(2022年 ロイター/Yuri Gripas)

(第3段落の「2021年」を「2022年」に訂正します)

[ワシントン 25日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は25日公表した世界経済見通しで、米国、中国、世界の経済成長予測を下方修正した。

新型コロナウイルスの流行、インフレ、供給制約、米金融引き締めを巡る不透明感がさらなるリスク要因になると指摘している。

2022年(訂正)の世界の経済成長率予測は0.5%ポイント下方修正し、4.4%とした。米中の経済成長率を下方修正したことが主因。

IMFは、オミクロン株の急速な感染拡大により、多くの国で移動制限が再導入され、労働力が不足していると指摘。供給制約がインフレの進行につながっているとの見方も示した。

オミクロン株の流行は、第1・四半期の経済活動の重しとなる見通しだが、重症化リスクは低いとみられていることから、その後、影響は緩和される見込みという。

また、IMFのギタ・ゴピナート筆頭副専務理事は、ロシアとウクライナ間の緊張悪化がエネルギー価格押し上げにつながる恐れがあり、インフレが長期間高止まりする可能性があるという認識を示した。

23年の世界の経済成長率予測は、昨年10月時点の予測から0.2%ポイント引き上げ3.8%とした。

新型コロナ流行に伴う累積の経済損失は24年に13兆8000億ドルに達する見通し。従来予想は12兆5000億ドルだった。

IMFは米経済成長率の予測を1.2%ポイント下方修正。バイデン政権の看板政策だった巨額の歳出法案が議会を通過していないことや、米連邦準備理事会(FRB)の早期の金融引き締め、供給不足の継続が理由という。

22年の米経済成長率の予測は4%。23年には2.6%に減速する見通し。

ゴピナート氏は、FRBによる利上げの道筋や世界の地政学的な緊張の高まりを巡り「かなりの不確実性」が依然存在すると指摘した上で、FRBが政策を巡り明確なコミュニケーションを取る限り、金利上昇は金融市場の「より秩序立った修正」を主導するという見解を示した。

中国の22年の経済成長率予測は0.8%ポイント下方修正し、4.8%とした。23年の予測は5.2%。「ゼロコロナ政策」に伴う混乱や不動産デベロッパーの財務問題の長期化が下方修正の理由。

ユーロ圏の22年の経済成長率予測は0.4%ポイント引き下げ3.9%とした。23年の予測は2.5%。

ブラジルとメキシコについては、22年の経済成長率予測をともに1.2%ポイント下方修正し、それぞれ0.3%、2.8%とした。中南米の経済成長率予測は0.6%ポイント下方修正し2.4%。

インドと日本については、小幅に上方修正した。

22年のインフレ率予測は、先進国・途上国とも上方修正した。供給網の混乱とエネルギー高騰を踏まえると、当初の予想以上に物価圧力が高止まりする見通しという。

22年の先進国のインフレ率予測は平均3.9%、新興国・途上国は5.9%。23年には燃料・食品価格の上昇率が鈍化し、インフレが落ち着く見通しを示した。

IMFは、先進国と途上国の景気回復ペースが大きく乖離すると予想。先進国は年内に新型コロナ前の水準を回復するが、一部の新興国・途上国は大幅な経済縮小に直面しているという。

新型コロナの流行を受けて、極度の貧困状態で暮らしている人は7000万人増えた。

低所得国の60%はすでに債務問題を抱えているか、そのリスクが高く、主要20カ国・地域(G20)が債務再編を急ぎ、再編交渉中は返済を一時猶予する必要があるとしている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円が対ドルで急上昇、円買い介入と市場関係者

ワールド

北朝鮮が米国批判、ウクライナへの長距離ミサイル供与

ワールド

北朝鮮、宇宙偵察能力強化任務「予定通り遂行」と表明

ワールド

北朝鮮、「米が人権問題を政治利用」と非難
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中