ニュース速報

ビジネス

米国株はインフレ懸念で続落、ダウ473ドル安

2021年05月12日(水)07時12分

5月11日、米国株式市場は続落して取引を終えた。ウオール街で4月撮影(2021年 ロイター/Carlo Allegri)

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米国株式市場は続落して取引を終えた。コモディティー価格の上昇や労働力不足を受け、短期的な価格上昇が長期的なインフレにつながるとの懸念が広がった。

主要株価3指数はいずれも取引時間中の安値から下げ幅を縮小して引けたが、売りは幅広いセクターで広がった。

LPLフィナンシャルのシニア市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「今月これまで軟調だったハイテク株に遅れて他のセクターにも売りが波及し、広範囲で弱さが見られた」と述べた。

米労働省が発表した3月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が2000年12月の統計開始以降で最高を記録。労働力の供給が需要増大に追い付いていない状況が示された。

メキシコ料理チェーンのチポトレ・メキシカン・グリルは10日、平均時給を15ドルに引き上げる計画を明らかにした。

LPLのデトリック氏は「インフレ懸念は続く。サプライチェーンの問題と記録的な景気刺激策、逼迫(ひっぱく)の様相が見られる労働市場が重なり、夏場を通じてインフレが上昇傾向をたどるとの懸念が出ている」と指摘。「2023年より後まで利上げしないと言う米連邦準備理事会(FRB)を(市場は)信じていないだろう。そこに乖離点があるかもしれない」と語った。

S&P総合500種の主要11セクターでは素材のみがプラス圏で終了。エネルギーは2.6%安と最も下げがきつかった。

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は、3月11日以来の高水準となる21.85で取引を終えた。

個別銘柄ではボーイングが1.7%安。電気系統の問題で4月の「737MAX」の納入機数が4機に減少した。

テスラは1.9%安。関係筋によると、同社は米中関係の緊張による不透明感を理由に、中国・上海工場の拡張計画を凍結した。

アパレルのLブランズは、ランジェリーブランド「ビクトリアズ・シークレット」とパーソナルケアブランド「バス・ボディ・ワークス」の2つの上場企業への分社化を発表。株価は1.8%下落した。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.85対1の比率で上回った。ナスダックでは1.62対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は117億8000万株。直近20営業日の平均は103億3000万株。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 34269.16 -473.66 -1.36 34572.74 34572.74 34075.31

前営業日終値 34742.82

ナスダック総合 13389.43 -12.43 -0.09 13115.85 13423.31 13107.67

前営業日終値 13401.86

S&P総合500種 4152.10 -36.33 -0.87 4150.34 4162.04 4111.53

前営業日終値 4188.43

ダウ輸送株20種 15708.35 -221.11 -1.39

ダウ公共株15種 910.14 -9.79 -1.06

フィラデルフィア半導体 2976.01 +8.90 +0.30

VIX指数 21.84 +2.18 +11.09

S&P一般消費財 1378.57 -12.82 -0.92

S&P素材 551.24 +1.92 +0.35

S&P工業 878.28 -12.86 -1.44

S&P主要消費財 724.19 -6.36 -0.87

S&P金融 616.09 -10.46 -1.67

S&P不動産 262.66 -2.96 -1.12

S&Pエネルギー 394.09 -10.36 -2.56

S&Pヘルスケア 1431.91 -14.11 -0.98

S&P通信サービス 251.56 -1.35 -0.53

S&P情報技術 2372.72 -5.78 -0.24

S&P公益事業 334.56 -4.04 -1.19

NYSE出来高 10.65億株

シカゴ日経先物6月限 ドル建て 28625 - 65 大阪比

シカゴ日経先物6月限 円建て 28615 - 75 大阪比

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和

ワールド

ナジブ・マレーシア元首相、1MDB汚職事件で全25

ワールド

ロシア高官、和平案巡り米側と接触 協議継続へ=大統

ワールド

前大統領に懲役10年求刑、非常戒厳後の捜査妨害など
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 8
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中