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完全失業率、3月は2.6%に改善 労働市場からの退出などで

2021年04月30日(金)11時25分

 総務省が4月30日発表した3月の完全失業率は2.6%となり、前月(2.9%)から低下し、昨年4月と同水準となった。東京都で1月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 30日 ロイター] - 総務省が30日発表した3月の完全失業率は2.6%で、前月(2.9%)から低下し、昨年4月と同水準まで改善した。ただ、この改善は、コロナ禍が続く中で労働市場から退出した人が多かったためとみられている。

今後についても、緊急事態宣言による経済の停滞やワクチン接種の遅れにより、雇用情勢が明確に改善するには時間がかかるとの声が多い。

完全失業者数(季節調整値)は180万人で、前月に比べ23万人減少。「非自発的な離職」が13万人減少し、「自発的な離職」は3万人減った。

第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「失業率は大幅に改善したが、就業者数が減少し非労働力人口が増加しており、(改善の)要因は労働市場から退出した人によるもの。良い形での低下とはいえない。景気が悪かったわりに失業率は抑制された」と分析。

今後は「緊急事態宣言が(東京都や関西圏で)出されている上、ワクチンもすぐには普及しないため、景気回復は緩やかなものにとどまるだろう。失業率も改善が明確化するには時間がかかる」とみている。

3月の就業者数(季節調整値)は6684万人と前月から13万人減少し、非労働力人口(同)は4181万人で24万人増加した。

休業者は220万人で前年同月比29万人の減少。コロナの影響が出る19年3月と比べると2万人の増加にとどまり、大きく変化はしていない。

総務省も、就業者数の減少や非労働力人口の増加を踏まえ3月の失業率の低下で雇用情勢が改善したとまで言うことは難しく、今後、緊急事態宣言の影響を注視していくとしている。

2020年度平均の完全失業率は2.9%で、09年度以来11年ぶりに上昇した。

<有効求人倍率、コロナの影響色濃く>

3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍で、前月から0.01ポイント上昇した。

有効求人数は前月から1.6%増加した。緊急事態宣言の解除を見越した求人が3月に増えた。

有効求職者数0.4%増。収入減を補てんするためにダブルワークを希望する人や、休業長期化に伴って自己都合で退職し転職しようとする人が目立った。

新規求人数(原数値)は前年同月比0.7%減。人手不足の傾向にある建設業が同16.3%増、製造業が同8.5%増となった一方、コロナの影響が残る生活関連サービス業・娯楽業が14.8%減、卸売業・小売業が12.6%減などとなった。

20年度平均の有効求人倍率は、19年度から0.45ポイント低下し1.10倍で、14年度(1.11倍)以来6年ぶりの低水準だった。低下幅はオイルショックの影響が出た74年度以来46年ぶりの大きさだった。

*情報を追加しました。

(金子かおり、杉山健太郎 編集:田中志保)

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