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NY市場サマリー(27日)ナスダック最高値、ドルは下落

2020年11月28日(土)07時05分

[27日 ロイター] - <為替> ドル指数が約3カ月ぶりの低水準を付けた。中国の経済指標が好調だったことで、株式のほか高リスク通貨に資金が流れ、ニュージーランドドルは約3年ぶりの高値を更新した。

中国国家統計局が27日発表した10月の工業部門企業利益は前年同月比28.2%増の6429億1000万元(977億9000万ドル)となり、6カ月連続で増加。新型コロナウイルス流行で大打撃を受けた製造業の着実な回復ぶりが示された。

エクスチェンジ・バンク・オブ・カナダ(トロント)の外為戦略部門責任者、エリック・ブレガー氏は、ドル下落の要因として経済指標などのほかに月末を控えたドル売りを指摘。感謝祭の祝日後、来週30日に向けて一連のドル売りが発生するとの見方が週初から出ていたと述べた。

CIBCキャピタル・マーケッツの外為戦略部門責任者、ビパン・ライ氏は、感謝祭の翌日に当たるこの日も多くのトレーダーが休みを取っているため取引は細っていると指摘。薄商いの中、相場の動きが拡大されたと述べた。

米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が当選を確実にしたことや、新型コロナウイルスワクチンの開発で相次いで有望な結果が示されたことなどで、ドルは月初から約2%下落。ライ氏は「一段のドル安の余地がある」としている。

主要6通貨に対するドル指数は終盤の取引で0.24%安。一時は91.756と、9月1日以来の安値を付けた。

ユーロは対ドルで0.39%高の1.1952ドル。

対米ドルでニュージーランドドルは0.21%高、豪ドルは0.41%高、カナダドルは0.23%高。

英ポンドは対ドルで0.45%安、対ユーロで0.78%安。英国と欧州連合(EU)の通商交渉の難航がポンドの重しになっている。

<債券> 米債利回りが低下。感謝祭の祝日後の短縮取引で薄商いとなった。新型コロナウイルスの感染拡大継続に加え、米国内外の一部でロックダウン(都市封鎖)措置が再導入される中、来週発表される経済指標で低調な内容が示されるとの懸念がくすぶった。

イールドカーブ(利回り曲線)は引き続きフラット化。長期債利回りが引き続き低下した。投資家は米連邦準備理事会(FRB)による資産購入プログラムの対象年限長期化について思案している。

アメリベット・セキュリティーズの米金利部門責任者、グレゴリー・ファラネッロ氏は「25日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によれば、資産購入プログラムに関して議論されたことは明らかで、一部調整される可能性はある」と指摘。ただ、FRBが短期的に新型コロナウイルスを懸念しており、ワクチンを巡る市場期待を拭い去ったと述べた。

米国で確認された新型コロナ感染者は累計で1300万人近くとなり、死者は26万人超に達している。

来週は11月雇用統計など重要な米経済指標の発表が相次ぐ。一部の州での制限措置を受け、アナリストは経済回復が抑制されているとの見方が強まる可能性を警戒している。

指標10年債利回りは0.842%と、前営業日終盤の0.878%から下落。

30年債利回りは1.575%。前営業日終盤は1.62%だった。

2年債利回りは0.154%と2週間ぶり低水準。前営業日終盤は0.16%。

2年債と10年債の金利差は68.8ベーシスポイント(bp)に縮小した。

<株式> 主要株価指数が上昇し、ナスダック総合が終値で過去最高値を更新した。米国では入院している新型コロナウイルス感染者が過去最多となる中、年末商戦が本格的にスタートした。

新型コロナ禍で好調だったハイテク関連株が買われ、ナスダック総合を押し上げた。一方、経済情勢に敏感なシクリカル(景気循環)銘柄は売られた。

週間では主要3指数がいずれも上昇。今週はS&P総合500種が終値ベースの最高値を更新し、ダウ工業株30種が史上初の3万ドル台乗せを達成した。

スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「きょうは短縮取引で商いも薄かった。唯一言えるのは上昇トレンドはまだ揺らいでいないということだ」と指摘。12月は11月ほどの上昇ではないにしろ年末ラリーが期待されるとした。

米年末商戦の幕開けとされる「ブラックフライデー」を迎えた27日、主要小売店にはマスクを着用した買い物客が列をなしたが、その数は例年より少なかった。各社がオンライン向けの販売セールを前倒しで実施したほか、新型コロナウイルスの感染拡大を巡る懸念が客足を遠のかせた。

カーディロ氏は、ブラックフライデーについてパンデミック(世界的大流行)の影響により客足は減少したが、オンライン販売は過去最高に達しており、これが好材料だと述べた。

新型コロナワクチンを巡っては、英政府が27日、英製薬大手アストラゼネカのワクチンを一時的に供給するため、英国医薬品庁(MHRA)に評価するよう要請した。

一方、米国では入院している感染者数が27日、初めて9万人を超えた。入院患者数は過去1カ月で倍増し、病院の対応能力は逼迫。感謝祭の祝日で人の移動が増える中、状況悪化が懸念されている。

S&P主要11セクターでは、ヘルスケアが上昇率トップ、エネルギーが下落率トップとなった。

新型コロナ危機下で底堅く推移していた半導体株も買われ、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は1.2%高と主要株価指数をアウトパフォームした。

個別株では、米娯楽大手ウォルト・ディズニーが1.3%安。テーマパークを中心に2021年上半期に3万2000人をレイオフすると発表したことを受けた。新型コロナ流行で顧客が制限され苦境に陥る中、9月に発表していた2万8000人から拡大する。

一方、米電気自動車(EV)大手テスラは2.0%高。米運輸省の道路交通安全局が、フロントサスペンションの安全問題を巡りテスラ車11万5000台について調査すると発表したが、影響は乏しかった。

中国の大手検索サイト・百度(バイドゥ)傘下の動画配信サービス「愛奇芸(iQIYI)」の米上場株は1.7%安。アリババ・グループと騰訊控股(テンセント・ホールディングス)が愛奇芸買収を巡る協議を保留しているとロイターが報じた。

<金先物> 米感謝祭休場明けで薄商いとなる中、リスク選好の流れに圧迫されて下落した。2月物の清算値(終値に相当)は前営業日の25日比23.10ドル(1.28%)安の1オンス=1788.10ドル。これは中心限月としては7月1日以来約5カ月ぶりの安値水準。

<米原油先物> 利益確定や高値警戒感による売りが一巡し、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は、前営業日(25日)比0.18ドル(0.39%)安の1バレル=45.53ドル。2月物の清算値は0.17ドル安の45.74ドル。

ドル/円 NY終値 104.10/104.13

始値 104.13

高値 104.2

安値 103.97

ユーロ/ドル NY終値 1.1962/1.1965

始値 1.1921

高値 1.1964

安値 1.1915

米東部時間

30年債(指標銘柄) 14時05分 101*05.50 1.5758%

前営業日終値 100*03.50 1.6200%

10年債(指標銘柄) 14時05分 100*10.00 0.8422%

前営業日終値 99*31.00 0.8780%

5年債(指標銘柄) 14時05分 100*01.00 0.3687%

前営業日終値 99*29.75 0.3890%

2年債(指標銘柄) 14時04分 99*30.13 0.1544%

前営業日終値 99*29.75 0.1600%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 29910.37 +37.90 +0.13

前営業日終値 29872.47

ナスダック総合 12205.85 +111.44 +0.92

前営業日終値 12094.40

S&P総合500種 3638.35 +8.70 +0.24

前営業日終値 3629.65

COMEX金 12月限 1781.9 ‐23.6

前営業日終値 1805.5

COMEX銀 12月限 2255.3 ‐80.9

前営業日終値 2336.2

北海ブレント 1月限 48.18 +0.38

前営業日終値 47.80

米WTI先物 1月限 45.53 ‐0.18

前営業日終値 45.71

CRB商品指数 160.9708 +0.5851

前営業日終値 160.3857

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