ニュース速報

ビジネス

米次期財務長官にイエレン前FRB議長、バイデン氏が起用へ

2020年11月24日(火)14時11分

米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領は、財務長官に連邦準備理事会(FRB)のジャネット・イエレン前議長を起用する方針。ワシントンで2017年12月撮影(2020年 ロイター/JONATHAN ERNST)

[ワシントン 23日 ロイター] - 米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領は、財務長官に連邦準備理事会(FRB)のジャネット・イエレン前議長(74)を起用する方針。民主党関係者が明らかにした。

政権移行チームのアドバイザー、ジェン・プサキ氏は、経済チームの陣容は来週発表される見通しだとツイッターに投稿した。

イエレン氏が財務長官に就任すれば女性初の同省トップとなる。同氏の指揮の下、財務省は、トランプ政権が重視した減税や金融規制緩和から、経済的不平等や気候変動の問題への進歩的な対策に政策の力点をシフトするとみられる。

同氏の起用は、バイデン新政権が議会や海外の金融当局などから評価が高く経験豊富な政策決定者を政権に登用する姿勢を示している。同氏は米議会や国際金融関係者、進歩派(プログレッシブ)、財界から広く尊敬を得ている。イエレン氏は、新型コロナウイルス流行を受けてリセッション(景気後退)に陥った米経済を支援するために政府支出の拡大を求めてきた。

FRBでは2010─14年に副議長、14─18年にFRB史上初の女性議長を務めた。トランプ大統領はイエレン氏を再任せずに18年にパウエル現議長に交代させた。

ニューヨーク・ブルックリンの医師と小学校教師の家庭に生まれたイエレン氏は、エール大学で経済学の博士号を取得し、カリフォルニア大学バークレー校、ハーバード大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学を教えた経歴を持つ。クリントン政権時代には米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長も務めた。

バイデン氏の政権移行チームの広報担当とイエレン氏はコメントの求めに応じなかった。

財務長官人事を巡っては、経済・金融の専門家としてラエル・ブレイナードFRB理事やアフリカ系米国人のファーガソン元FRB副議長のほか、大統領選の民主党候補を争ったエリザベス・ウォーレン上院議員の名前も挙がっていた。

ウォーレン氏はツイッターで、イエレン氏指名は「素晴らしい人選」とし、イエレン氏のことをFRB議長時代に「ウォールストリートの銀行に立ち向かった」と称賛した。

<財政政策で手腕発揮か>

イエレン氏はFRB時代にはなかった財政・税制政策に影響力を持つ財務長官という立場で大きな役割を担うことになる。

財務省の元高官で現在は国際金融協会(IIF)最高経営責任者(CEO)のティム・アダムズ氏は、イエレン氏は「米国がコロナ流行からの景気回復を探る上で、信頼が高く安定的、現実的な手腕で陣頭指揮をとるだろう」と予想。

上院は民主党がジョージア州選出議員2人を決める1月の決選投票で多数派に転じる可能性は低く、イエレン氏にはバイデン氏の富裕層向けの増税やインフラ・教育・気候変動対策関連の大型支出などの政策目標の実現に向け、共和党との厳しい協議が待ち受けるとみられる。

短期的には、イエレン氏は雇用創出と経済的不平等の是正に向けた支出拡大を効果的に訴えられるだろうとエコノミストは予想する。

FRBのエコノミストとしてイエレン氏と同じ職場で勤務した経験がある調査会社マクロポリシー・パースペクティブのジュリア・コロナード社長は「イエレン氏はコンセンサスをどのように構築すればいいのか、いかに自分に有利な形で議論を進めるかを知っている」と指摘した。

<市場は好感>

イエレン氏が財務長官に指名されると報道されると、ほぼ横ばいで推移していたS&P総合500種指数は上昇し、0.56%高で終了した。

市場関係者は、イエレン氏がコロナによる経済危機の克服に向けて追加財政出動を推進し、財務省がFRBと緊密な連携を続けるよう図ると期待する。

ブラウン・アドバイザリーの債券担当責任者、トム・グラフ氏は「イエレン氏はより積極的な財政政策を強力に訴えるだろう。ワシントン周辺での影響力の大きさを踏まえると、バイデン氏が指名する人材の中で、唯一最大の効果を発揮する財政拡張派となる可能性がある」とした。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:日本のM&Aで増す株主の存在感、経営判断

ワールド

中国外相がエチオピア首相と会談、幅広い経済協力拡大

ビジネス

メルク、米保健当局に科学的根拠に基づく小児ワクチン

ワールド

キーウにロシアの無人機攻撃、4人死亡・19人負傷 
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中