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アングル:新型コロナワクチン、極低温輸送の準備急ぐ航空各社

2020年11月22日(日)09時00分

10月18日、航空各社がこのところ忙殺されているのが、極低温輸送・保管施設の準備である。写真はベルギーのプールスにあるファイザーの研究施設で、新型コロナウイルス向けワクチン試薬が保管された冷凍庫の前を移動する関係者。ファイザー提供(2020年 ロイター)

Laurence Frost and Ilona Wissenbach

[パリ/フランクフルト 18日 ロイター] - 航空各社がこのところ忙殺されているのが、極低温輸送・保管施設の準備である。運ぶものはファイザーとモデルナが開発するCOVID-19ワクチンだ。最初に流通する可能性が高い両社のワクチンだが、いずれも極低温での輸送・保管が必要となる。

航空貨物関連の業界団体、医薬品輸送企業の団体に対する最近の調査では、この業界に参入している企業のうち、ファイザー製ワクチンが必要とする摂氏マイナス70度(華氏マイナス94度)近い低温での輸送に対応できるとの感触を得ているのはわずか15%だ。モデルナのワクチンが必要とする条件はマイナス20度とやや緩く、約60%の企業が対応できるとしている。

通常、航空会社が医薬品を輸送する場合、ドライアイスなどの冷却剤を投入したコンテナを利用するが、温度調整ができないものもあり、製品が運航の遅延など予期せぬ出来事の影響を受けやすい。

航空各社は現在、極低温を必要とするワクチンの輸送に向けて、小型車ほどのコストがかかる大型の電気冷蔵設備から、液体窒素を用いる多層構造の冷蔵容器に至るまで、さまざまな選択肢を検討している。

こうした高度な梱包技術に対する潜在的需要が見込まれるため、クライオポートや独バキューテックなど冷蔵コンテナ専門企業の株価は、ここ数カ月で2倍以上に上昇している。

大韓航空<003490.KS>の広報担当者は「大韓航空では、温度管理コンテナのメーカー5社と直接契約し、十分な量のコンテナを確保している。現在、それ以外のコンテナメーカーとも契約締結のプロセスに入っている」と話している。

エールフランスKLMでは、製薬会社1社とのワクチン輸送実地試験を急いでいるという。相手企業名については明らかにしなかったが、恐らくアムステルダムのスキポール空港経由で、ダミーのサンプルを極低温で輸送することになる。

エールフランスKLMの特殊貨物担当マネジャーを務めるベアトリス・デルプエク氏がロイターに語ったところでは、この実地試験では、1個当たり最大5000回投与分を収容するボックスを使い、全てドライアイスによって冷却するという。その後の輸送では、バキューテックから貸与されるもっと大型の極低温コンテナを使う可能性がある。

デルプエク氏は「航空輸送のセグメントも含め、始点から終点までロジスティクス全体を検証する必要がある」と語る。「私たちのチーム全体と、プロセスのステップを逐一検証する専門タスクフォースを用意して、どこにも何の障害も残らないようにしている」と話す。

<ドライアイスでは限界あり>

だが、ワクチン輸送における難問の1つは、航空機では限られた量のドライアイスしか運べないという点だ。ドライアイスは凍らせた二酸化炭素であり、時間が経つにつれて気体に戻り、機内の呼吸可能な空気を追い出してしまうからだ。

DHLが作成したワクチン輸送に関する白書によれば、ワイドボディの航空機の場合、どの機種でも、冷蔵・断熱コンテナで運搬可能なドライアイスは最大で約1トンだという。

フランクフルト航空貨物協会のヨアヒム・フォン・ビニングCEOは「機種にもよるが、通常は、一度に運べる冷蔵・断熱コンテナは数個に留まる」と話している。

代替案としてドイツポスト傘下のDHLが利用してきたのは、クライオポートが製造するカプセル・コンテナだ。DHLグローバル・フォーワーディンでグローバル規模の温度管理ソリューションを担当するパトリシア・コール氏によれば、このコンテナは液体窒素によって貨物を最低マイナス150度、最長10日間維持するもので、ワクチン治験の支援に用いられているという。

これは比較的小規模なソリューションで、コンテナ1個あたりで医薬品の瓶を数百本しか納められないが、すでに広い範囲で準備が始まっている。

ファイザーは米国内でのワクチン流通に向けDHL、フェデックス、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)と協力を進めており、16日の発表によれば、全米及びグローバル規模の輸送計画を練り上げるために、4州で試験的な配送プログラムを開始したという。

また、ファイザーはドライアイスを利用してワクチンを最長10日間、マイナス70度前後に維持するGPS追跡可能な温度管理ボックスを開発した。

ただ、スウェーデンのエンビロテイナーなどの冷蔵輸送ソリューション事業者は、中身の冷却に電気モーターを利用する、いわゆる「アクティブコンテナ」の方が、安全性も高くコスト効率も良いと話している。

エンビロテイナーの広報担当者は、アクティブ温度管理コンテナを用いた同社の輸送フリートは競合他社の2倍の規模であり、さらに輸送能力を50%拡大すべく準備を進めていると話す。

バキューテックも今月、COVID-19用ワクチン輸送の受注を期待して、今後数カ月間でコンテナ輸送フリートを大幅に拡大すると発表している。

今年はパンデミックに関連した渡航制限のもとで旅客数が急減しており、航空会社の収益源として貨物輸送の比重が増している。

アクセンチュア傘下のシーベリー・コンサルティングでは、ワクチンがグローバル規模で配布されることにより、6万5000トン相当の航空輸送が発生すると試算している。これは2019年の航空機によるワクチン輸送実績の5倍に当たる。

とはいえ、KLMのピーター・エルバースCEOが今月11日のCAPAセンター・フォー・エイビエーションのイベントで語ったように、航空会社にとっては、ワクチンによって従来のように旅行できる状況が戻る可能性が何よりも重要である。「航空産業全体にとって、ワクチンの重要性は、それによって生まれる航空貨物収入よりもはるかに大きなものになると考えている」とエルバースCEOは語った。

(翻訳:エァクレーレン)

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