ニュース速報

ビジネス

焦点:「バイデン大統領」に備える投資家、ドル売りに米株圧縮も

2020年07月04日(土)07時52分

 7月1日、米大統領選で野党・民主党の候補指名を確定させたバイデン前副大統領の支持率が、現職のトランプ氏を上回り続けている状況を受け、一部の投資家はバイデン氏が勝利する展開に備えつつある。6月30日、デラウェア州ウィルミントンで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)

Saqib Iqbal Ahmed David Randall

[ニューヨーク 1日 ロイター] - 米大統領選で野党・民主党の候補指名を確定させたバイデン前副大統領の支持率が、現職のトランプ氏を上回り続けている状況を受け、一部の投資家はバイデン氏が勝利する展開に備えつつある。

11月3日の本選までまだ4カ月残っており、さまざまな変化が起こり得る。多くの投資家の目がなおも、回復がようやく始まった米経済が新型コロナウイルスの感染再拡大からどんな影響を受け得るのかに向けられているのも確かだ。

それでも資産運用担当者の中には、既にバイデン氏当選の可能性を見越して、ドルを売ったり、米国株の保有規模を圧縮したりする動きが見られる。

フェデレーテッド・ハーミーズのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏は「トランプ氏の支持率は崖っぷちの水準まで下がった。市場はここに注目し『今選挙があればバイデン氏が勝つ』と告げている」と指摘した。

最新のロイター・イプソス世論調査では、バイデン氏の支持率はトランプ氏を8%ポイント上回っている。新型コロナ問題を巡るトランプ氏の対応についての評価は急落の一途だ。

ではバイデン氏が当選し、場合によっては民主党が上下両院の過半数を制すると、どういうことが起きるのか。アナリストの見立てでは、トランプ氏が推進し、米国株市場が好感してきた法人減税や規制緩和が巻き戻される恐れがある。

S&P総合500種<.SPX>は、コロナ問題による急落があったにもかかわらず、トランプ氏就任以降では約37%上昇している。ただ、以前の民主党政権下でもバラク・オバマ氏とビル・クリントン氏の1期目にはそれぞれ85%と79%の上昇を記録した。

アムンディ・アセット・マネジメントによると、バイデン氏が次期大統領になれば法人税率が28%に上がる可能性が高く、トランプ氏と共和党主導の議会が2017年終盤に打ち出した税率引き下げの半分が帳消しになりそうだ。

同社のポートフォリオマネジャー、パレシュ・ウパダヤヤ氏は、これがS&P500種企業の1株利益を約20ドル減らし、投資家の米国株離れとドル安につながりかねないとの見方を示し、ドル売りを進めている。

ラファー・テングラー・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、アーサー・ラファー・ジュニア氏も先週、ドル買いポジションを巻き戻した。バイデン氏勝利で経済成長が鈍化し、ドルに下げ圧力がかかるとの読みだ。なお、ラファー・ジュニア氏の父親は、トランプ氏の経済顧問を務めていた。

実際、通貨先物市場では、ドルの売り持ち規模が最近になって2年ぶりの高水準に膨れ上がった。

民主党政権が新たな規制を導入する可能性があることが、エネルギー株と金融株にとって逆風になってもおかしくない、とUBSグローバル・ウェルス・マネジメントのアナリストチームは投資家向けノートに記した。

ブラックロック・インベストメント・インスティテュートはこのほど、財政政策の息切れ懸念とともに大統領選を巡る不透明感を理由に挙げて、米国株の投資判断を「中立」に引き下げた。

フェデレーテッド・ハーミーズのオーランド氏は、新型コロナ感染者増加とトランプ氏の支持率下落を踏まえ、ポートフォリオの現金比率を高めている。トランプ氏の劣勢が続くようなら、配当やキャピタルゲインへの将来の増税が懸念されるとして、高配当銘柄の保有を減らす方針だ。

もっとも米連邦準備理事会(FRB)が必要なら米経済を支えると見込まれている以上は、バイデン氏当選、あるいは民主党の議会選を含めた「完勝」が本当に株価にマイナスかどうかまだ確信を持てない投資家も多い。

レビン・イースタリー・パートナーズのサム・ヘンデル社長は「(景気刺激策が)継続されている限り、資産価格の面である程度安定装置が働き続けるだろう」と語った。

世論調査を当てにし過ぎるのをためらう投資家もいる。何しろ16年の英国民投票における欧州連合(EU)離脱派勝利や、同年の米大統領選でのトランプ氏当選は、多くの世論調査で予想されていなかったのだ。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送マツダ、通期純利益予想を維持 米関税吸収で10

ビジネス

訂正-午後3時のドルは155円前半、米雇用懸念など

ワールド

「台湾独立」勢力は断固取り締まるべき、中国共産党幹

ワールド

フィリピン、中国との間に協力の兆候 駐米大使「対話
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 4
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中