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日銀、年後半の景気回復予想を維持へ 対策効果見極め=次回決定会合で関係筋

2020年06月05日(金)17時12分

 6月5日、日銀は15―16日に開催する金融政策決定会合で、年後半にかけて景気が持ち直すシナリオを維持する見通しだ。写真は都内で2016年9月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

和田崇彦、木原麗花

[東京 5日 ロイター] - 日銀は15―16日に開催する金融政策決定会合で、年後半にかけて景気が持ち直すシナリオを維持する見通しだ。複数の関係者が明らかにした。緊急事態宣言の解除や補正予算の景気下支え効果から、4―6月期をボトムに7―9月期はプラス成長に回復するとの見方が出ている。ただ、新興国でコロナウイルス感染者が急増しているほか、国内でも感染第2波への懸念がある。先行きの景気に不確実性が高いことを踏まえ、さらなる対応が必要か慎重に見ていく。

日銀は4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で「感染症拡大の経済への影響が、世界的に見て、本年後半に和らいでいく」としていた。日銀では、不確実性は高いもののこうした見通し自体は変わっていないとの声が出ている。

政府は5月に緊急事態宣言を全面解除し、飲食店など企業の事業活動が徐々に再開している。政府が20年度第1次補正予算に盛り込んだ1人10万円の給付金が個人の手もとに渡り始めれば、景気の下支え役になるとの期待感も日銀内では出ている。

事業活動の再開に歩調を合わせ、景気は4―5月を底に回復の兆しが出始め、7―9月期の実質GDPは前期比年率でプラス圏に浮上するとの見方が、日銀内で聞かれる。

しかし、先行きの不確実性は引き続き大きい。日銀内では、景気の落ち込みは4月の展望リポート時の想定より深く、戻りは鈍くなりそうだとの声が出ている。

海外では米国で感染者数が高止まりする一方、ブラジル、ロシア、インドといった新興国で感染者数が急増。米中貿易戦争が再燃することへの懸念もくすぶる。

国内で緊急事態宣言が解除されたとは言え、第2波への警戒感から景気の急回復は見込みにくい。訪日外国人観光客が近い将来に再び増加する可能性が低い中、感染を恐れて国内観光の活発化も望みにくい。

日銀は3月以降、コロナ対応の政策を矢継ぎ早に打ち出してきた。企業の資金繰り支援と市場の安定確保に万全を尽くす局面との認識は変わっておらず、企業金融の円滑化と市場の安定に重心を置いた一連の対策の効果を見極めるスタンスを維持しつつ、企業支援などでさらなる対応が必要か慎重にみていく。

一方、日銀内では、感染症の拡大防止に逆行する需要喚起策には慎重な声が目立つ。

(編集:石田仁志)

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