ニュース速報

ビジネス

米消費者物価、3月は前月比-0.4% 新型コロナで5年ぶり下落率

2020年04月11日(土)03時12分

米労働省が10日発表した3月の消費者物価指数は前月比0.4%下落と、2015年1月以来の大幅なマイナスとなった。ワシントン州シアトルで3月撮影(2019年 ロイター/LINDSEY WASSON)

[ワシントン 10日 ロイター] - 米労働省が10日発表した3月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%下落と、2015年1月以来の大幅なマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染拡大により一部のモノやサービスの需要が減っており、供給網の混乱による不足に関連した値上がりを相殺している。CPIは今後一段と下落するとみられる。市場予想は0.3%下落だった。

2月は0.1%上昇していた。

3月はガソリンや宿泊、衣料、航空費が値を下げた。前年同月比は1.5%上昇。市場予想は1.6%上昇だった。2月は2.3%上昇した。

労働省によると、3月の集計は新型ウイルスに影響された。対面による調査を3月16日に停止したほか、一部の機関が一時的に閉鎖もしくは稼働を縮小していることから、一時的に集計ができず補完データで算出したものが増えた。多くの指数は通常より標本数が少ないほか、通常公表される指標のいくつかは3月に公表されなかった。

新型ウイルスの感染拡大を抑えるために州や地方政府が厳しい規制を導入する中、飲食店やその他の社交場は打撃を受けている。衣料品店は休業しているほか、一部の製造業も稼働を停止。交通機関も大幅に制限され、こうした中で何百万人もの失業者が出た。

世界経済が深刻な景気後退に陥るとの不安や、サウジアラビアとロシアの価格競争を巡る懸念から、原油価格は急落した。供給網の混乱による物価上昇を相殺するとみられる。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.1%下落し、10年1月以来初めてマイナスとなった。前月まで2カ月連続で0.2%上昇していた。3月は新車の値下がりが一つの押し下げ要因だった。3月のコア指数の前年同月比は2.1%上昇した。2月は2.4%上昇していた。

FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は2月に前年同月比1.8%上昇した。1月は1.7%上昇だった。19年は1月から12月まで、目標の2%を下回った。前日に発表された3月の卸売物価指数(PPI)は、コアPCE価格指数に組み入れられる項目の一部が弱含んだことから、エコノミストは物価が3月に減速したとみている。3月のPCEは今月下旬に発表される。

CPIの前月比内訳は、ガソリンが10.5%下落で、16年2月以来の大幅な下げ。2月は3.4%下落していた。食品は0.3%上昇。前月は0.4%上昇した。家庭用食品は2カ月連続で0.5%上昇だった。

帰属家賃は0.3%上昇。2月は0.2%上昇だった。住居費(ホテル・モーテル)は7.7%、航空運賃は12.6%それぞれ下落し、ともに過去最大の下げを記録した。

医療費は0.4%上昇。前月は0.1%上昇だった。衣料は過去最大の2.0%下落。1月は0.4%上昇だった。新車は0.4%下落し、18年4月以来の大幅な下げ。一方、中古車は0.8%上昇。2月は0.4%上昇だった。

PNCファイナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は、デフレが現時点の大きな懸念だとし、「新型コロナ流行によるさらなる需要低迷や行動規制を受けて企業が価格を引き下げており、デフレは今後数カ月にわたり続くだろう」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国大豆輸入、今年は過去最高か ブラジル産購入や米

ワールド

メローニ伊首相、ゼレンスキー氏と電話会談 緊急支援

ビジネス

街角景気11月は7カ月ぶりに悪化、物価高に懸念 ク

ワールド

中国レアアース輸出、11月は急増 米中首脳会談受け
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中