ニュース速報

ビジネス

中国線2月の予約キャンセル、10日間で25%出ている=JAL取締役

2020年01月31日(金)17時34分

 1月31日、中国を中心に新型コロナウイルスによる肺炎感染が拡大する中、日本航空(JAL)の菊山英樹・取締役専務執行役員は決算会見で、日本発・中国発両方の中国線での2月の予約キャンセルが1月20日ごろからの10日間で25%出ていることを明らかにした。写真は羽田空港で2012年9月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 31日 ロイター] - 中国を中心に新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大する中、日本航空(JAL)<9201.T>の菊山英樹・取締役専務執行役員は31日の決算会見で、日本発・中国発両方の中国線の予約キャンセルが1月20日ごろからの10日間で、2月は約25%、3月は約20%出ていることを明らかにした。

菊山氏は「中国発より日本発のほうが(予約の)落ち方が大きい」と指摘。今後の動向次第では減便などを検討する可能性もあり、「収入の下振れは否定できない状況だ」と述べた。中国線は国際線収入の約10%を占める。

JALは新型コロナウイルスの発生した中国・武漢への直行便は運航していないが、日本各地と北京・上海・広州などの中国各都市を結ぶ路線を運航。現状すべて通常通り運航しているが、世界の航空会社の一部には中国各都市との直行便の運休に動いている。

菊山氏は、公共交通機関としての責務や事業運営面などあらゆる点を考慮する必要があり、現時点ではJALとして「ただちに中国線を止めるということはできない」と語った。中国線以外の路線でのキャンセルの広がりは今のところまだ見られないが、今後の需要動向を見通すのは「なかなか難しい」と話した。

<通期予想を下方修正、新型肺炎の影響含まず>

JALは31日、2020年3月期通期業績予想を下方修正した。売上高、営業利益をいずれも従来予想から300億円引き下げた。中国系航空会社が増え需給バランスが崩れていることや香港デモ・日韓関係問題などにより、国際旅客需要と国際貨物需要が想定を下回ることが響く。今回の下方修正には新型肺炎の影響は織り込んでいない。

下方修正後の売上高は前期比0.1%減の1兆4860億円、営業利益は同20.5%減の1400億円となる見通し。純利益は従来の1140億円から210億円減らし、同38.3%減の930億円を予想。配当は1株当たり期末55円、年間110円と従来予想を維持する。

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、外務省は同日、武漢市のある湖北省以外の中国全土の感染症危険情報について、不要不急の渡航中止を促す「レベル2」に引き上げた。これまでは4段階で最も低い、渡航に十分な注意を促す「レベル1」だった。湖北省は渡航中止を勧告する「レベル3」を継続している。

*内容を追加しました。

(白木真紀)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中