ニュース速報

ビジネス

円高リスク、米大統領選が開幕=来週の外為市場

2020年01月24日(金)16時06分

 1月24日、来週の外為市場は、円高リスクがくすぶる展開となりそうだ。写真は東京株式市場で2018年10月撮影(2020年 ロイター/ISSEI KATO)

[東京 24日 ロイター] - 来週の外為市場は、円高リスクがくすぶる展開となりそうだ。新型コロナウイルスによる肺炎被害がどこまで拡大するのか未知数なこと、2月3日の米アイオワ州党員集会で民主党の左派候補が健闘する可能性などを警戒する声が出ている。

予想レンジはドルが108.00━110.50円、ユーロが1.0900―1.1200ドル。

ドルは24日未明、新型コロナウイルスによる肺炎被害拡大への警戒感で下落した米株に追随し、一時109.26円まで下落。今月9日以来2週間ぶり安値をつけた。

中国で突然発生した新型肺炎が、世界経済や金融市場に与える影響は不明。市場では2003年に約800人の死者を出したSARS(重症急性呼吸器症候群)との比較で、様々な分析が行われているが「時々刻々と変化する状況を予測できるものでもない」(外銀)。リスクオフムードの広がりで株安/円高に振れやすくなる状況が続きそうだ。

米大統領選の開幕戦と位置付けられるアイオワ州の党員集会が、波乱要因となる可能性を指摘する声も出ている。混戦の続く民主党選では、有力紙ニューヨーク・タイムズが左派のウォーレン上院議員を支持すると表明。同氏の支持率は一時より低下しているものの、銀行やIT企業大手の解体といった過激な主張が再び支持を得るようなことになれば、市場の予想変動率は大きく上昇し、リスク回避的に円が買われやすくなるという。

もうひとつ注目を集めているのが、1月のドル/円の季節性。第2次安倍政権が発足した2012年末以降の7年間で、1月月間にドル/円が下落したのは実に5回。下落の「勝率」は7割超という実績を誇る。ドルが月初の108円半ばを上回って月内の取引を終えれば、16年1月以来4年ぶりに季節性が崩れることになる。

強弱感の対立からポンドの大きな上下動が続く英国は、31日2300GMT(日本時間2月1日午前8時)に欧州連合(EU)を離脱する。「移行期間」の年末まで現行の枠組みを維持し、EUと貿易協定交渉を行うが、先行きは不透明。英金融行動監視機構は金融機関に対し、期限内に合意できない事態に備えるべきと警鐘を鳴らしている。

30日にイングランド銀行(中央銀行)が開く金融政策委員会も焦点。一時は1月と3月の連続利下げを予想する声も上がったが、その後発表された経済指標の底堅さなどを受け、金利市場が織り込む1月の利下げ確率は23日時点で6割程度まで低下している。

(為替マーケットチーム)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米東部の高齢者施設で爆発、2人死亡 ガス漏れか

ビジネス

午前の日経平均は続伸も値幅限定、クリスマス休暇で手

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.

ワールド

マクロスコープ:核融合電力、国内で「売買契約」始ま
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中