ニュース速報

ビジネス

NY市場サマリー(20日)

2019年11月21日(木)07時53分

[20日 ロイター] - <為替> ドルが上昇した。「第1段階」の米中通商合意が来年にずれ込む可能性があるとの関係者の話が伝わったことで、安全資産に対する需要が増大した。

米ホワイトハウスに近い関係者によると、中国が関税撤廃拡大を求めているほか、米国もこれに対応し要求を強めているため、第1段階の合意は来年にずれ込む可能性がある。[nL3N28040K]

前日はトランプ米大統領が中国と通商問題で合意できなければ対中関税を一段と引き上げると発言したほか、議会上院が中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決。[nL3N27Z3YR][nL3N27Z5K5]市場心理はすでに悪化していた。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.1%高の97.949。一時は98.038まで上昇した。

シリコンバレー銀行のシニア外為トレーダー、ミン・トラン氏は「米中の通商を巡る緊張の高まりが再び市場の焦点となった」とし、「きょう出てきたニュースはやや強めだったため、市場は『リスクオフ』に一段と傾いた」と述べた。

通商問題に敏感に反応する傾向のある通貨が売られ、豪ドルは対米ドルで0.44%下落した。

米連邦準備理事会(FRB)がこの日に公表した10月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、今後の見通し変更につながる要因はほとんど示唆されなかった。[nL3N28042S] ブラックロックの米州ファンダメンタル・フィクストインカム部門責任者、ボブ・ミラー氏は、「FRBは利下げを3回連続で実施したが、サイクル半ばでの調整は終了した」との見方を示した。

英ポンドは0.03%下落。12月12日の総選挙を前に実施された党首討論会で野党・労働党のコービン党首が予想以上に健闘したことが重しとなった。[nL3N27Z534]

<債券> 「第1段階」の米中通商合意が来年にずれ込む可能性があるとの関係者の話が伝わったことで安全資産とされる国債に買いが入り、利回りが低下した。10年債と30年債利回りが3週間ぶりの低水準を付けたほか、2年債利回りは2週間ぶりの水準に低下した。

米ホワイトハウスに近い関係者によると、中国が関税撤廃拡大を求めているほか、米国もこれに対応し要求を強めているため、第1段階の合意は来年にずれ込む可能性がある。[nL3N280458]

焦点となっているのは、12月15日に米政府が発動を予定している1560億ドルの中国製品に対する追加関税措置。対象品目には年末商戦で人気の高い製品も含まれており、アナリストの間では発動予定前に米中が合意できなかった場合、米連邦準備理事会(FRB)は利下げ休止スタンスの再考を迫られる可能性があるとの見方が出ている。

TD証券(ニューヨーク)のシニア金利ストラテジスト、ゲンナディー・ゴールドバーグ氏は「きょう出てきたニュースでマイナス効果が増大した」とし、「通商合意がなければ、来年の利下げ観測の高まりが市場で織り込まれる可能性がある」と述べた。

通商問題を巡る緊張が解消されない中、米国債の利回り曲線はこの日も平坦化が進み、2年債と10年債の利回り格差は15ベーシスポイント(bp)と、3週間ぶりの水準に縮小した。同利回り格差は過去6週間にわたり縮小し続けている。

米議会上院は前日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決。香港警察に催涙ガスや催涙スプレー、ゴム弾、スタンガンなど特定の軍用品を輸出することを禁じる法案も全会一致で可決した。[nL3N27Z5K5]こうした動きも米国債相場に影響した。

10年債利回りは一時1.728%と、3週間ぶりの水準に低下した。終盤の取引では1.734%。前日終盤は1.786%だった。

30年債利回りは2.192%と、同様に3週間ぶりの水準に低下。 終盤の取引では2.202%となっている。

2年債利回りは1.565%と、2週間ぶりの水準に低下。終盤の取引では1.569%。前日終盤は1.596%だった。

FRBがこの日に公表した10月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、今後の見通し変更につながる要因はほとんど示唆されなかった。[nL3N28042S]

<株式> 主要株価3指数がいずれも下落して取引を終えた。米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があるとの報道を受けて懸念が高まった。米連邦準備理事会(FRB)が20日公表した10月29─30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も市場の支援材料にはならなかった。

FRBは議事要旨で、今後の見通し変更につながる要因についてほとんど示唆しなかった。10月のFOMCでは今年3度目の利下げを決定。今後利下げを休止する可能性があることを示唆していた。[nL3N28042S][nL3N27F4UG]

米上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。[nL3N27Z5K5]

これを受け、米中間の緊張が高まることへの懸念から米株市場は下落して始まった。その後、ロイターが専門家やホワイトハウスに近い関係者の話として、米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があると報じたことから、3指数は下げ幅を拡大。午後の早い時間に日中安値を付けた。[nL3N280458]

ホライズン・インベストメンツのスコット・ラドナー最高投資責任者(CIO)は「トランプ米大統領は12月15日に対中追加関税の発動を予定している。市場は第1段階の合意がこの日までに成立することを期待してきた」と指摘した。

LPLフィナンシャルのシニア市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は、S&P総合500種<.SPX>が20日まで、過去30営業日において2日続落していなかったことに言及。市場はとっくに下落しても不思議はなかったと話した。

その上で、香港を巡る米中間の緊張が通商協議の進展に大きな影響を及ぼす可能性に懸念を示した。

この日は幅広い銘柄に売りが出た。S&P総合500種<.SPX>の主要11セクターでは8セクターが下落。上昇したのは公益事業<.SPLRCU>、不動産<.SPLRCR>、エネルギー<.SPNY>だけだった。

貿易動向に敏感な情報技術セクター<.SPLRCT>は0.7%安。フィラデルフィア半導体指数<.SOX>は1.2%下落した。

素材セクター<.SPLRCM>は1.2%安と下落率が8セクター中最大だった。金利動向に敏感な金融セクター<.SPSY>は日中安値からやや持ち直したものの、0.5%安で終了。安全資産とされる国債が買われ、米10年債利回りがさらに低下したことに圧迫された。

個別銘柄では、小売大手ターゲットが14%急伸。ホームセンター大手ロウズも3.9%上昇した。両社とも通期の利益見通しを引き上げたことが好感された。[nL3N2803NI][nL3N2803RL]

一方、アパレル小売チェーンのアーバン・アウトフィッターズは15.2%急落。四半期の売上高が市場予想を下回った。

<金先物> 香港情勢や通商摩擦をめぐる米中両国の対立を背景に神経質なムードが広がる中、中心限月12月物の清算値は前日比0.10ドル(0.01%)安の1オンス=1474.20ドルと、ほぼ横ばいとなった。

米上院は19日、香港の自治と人権の擁護を目的とする「香港人権・民主主義法案」を満場一致で可決。今後、下院と内容をすり合わせた上で大統領が署名すれば、同法案が成立する見通しとなった。これに対し、中国政府は同法案が成立した場合、「断固反撃する」と報復を予告。外交面での対立が、難航する米中貿易協議の「第1段階の合意」文書署名に向けた調整にも影響する可能性があるとの懸念が浮上し、金塊相場は早朝にかけて堅調に推移していた。

相場はその後、いったん下落。米商務省が中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)への一部製品供給を認める許可証の発行を開始したとの報などがきっかけとなったもよう。しかし、午後に入ると、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表を前に買い戻しが入り、横ばい圏に切り返した。

<米原油先物> 需給引き締まり観測などを背景に買われ、大幅反発した。この日納会を迎えた米国産標準油種WTI12月物の清算値は前日比1.90ドル(3.44%)高の1バレル=57.11ドルだった。1月物は1.66ドル高の57.01ドルとなった。

米エネルギー情報局(EIA)の週間統計では、原油在庫が前週比140万バレル増と、市場予想(ロイター通信拡大版調査)の150万バレル増よりも小幅な積み増しとなった。前日に米石油協会(API)が発表した原油在庫が600万バレル増と事前予想を大幅に上回る積み増しだっただけに相場に買い安心感が広がった。

また、プーチン・ロシア大統領は20日、ロシアと石油輸出国機構(OPEC)には石油市場の均衡を維持し予測可能にするという「共通目標」があり、ロシアは協調減産合意の下での協力を継続していく、と述べた。これを受けて、協調減産の拡大に再び期待が広がった。ロイター通信は19日、関係筋の話としてロシアは減産の延長に参加することはあっても、減産量の拡大に応じる可能性は低いと報じていた。

米海軍は19日、米空母「エーブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃軍が同日、中東の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を通過し、ペルシャ湾に入ったと発表。イランをめぐる地政学的リスクに対する警戒感も相場の支援材料となった。

ドル/円 NY終値 108.60/108.63

始値 108.46

高値 108.74

安値 108.42

ユーロ/ドル NY終値 1.1072/1.1074

始値 1.1056

高値 1.1081

安値 1.1054

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 103*19.50 2.2097%

前営業日終値 102*19.00 2.2560%

10年債(指標銘柄) 17時02分 100*01.00 1.7466%

前営業日終値 99*21.50 1.7860%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.75 1.5940%

前営業日終値 99*13.75 1.6200%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.00 1.5818%

前営業日終値 99*26.13 1.5960%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 27821.09 -112.93 -0.40 <.DJI>

前営業日終値 27934.02

ナスダック総合 8526.73 -43.93 -0.51 <.IXIC>

前営業日終値 8570.66

S&P総合500種 3108.46 -11.72 -0.38 <.SPX>

前営業日終値 3120.18

COMEX金 12月限 1474.2 ‐0.1 <0#GC:>

前営業日終値 1474.3

COMEX銀 12月限 1711.5 ‐0.3 <0#SI:>

前営業日終値 1711.8

北海ブレント 1月限 62.40 +1.49 <0#LCO:>

前営業日終値 60.91

米WTI先物 1月限 57.01 +1.66 <0#CL:>

前営業日終値 55.35

CRB商品指数 178.9640 +1.8086 <.TRCCRB>

前営業日終値 177.1554

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マスク氏が訪中、テスラ自動運転機能導入へ当局者と協

ワールド

ハマス代表団、停戦協議でカイロへ 米・イスラエル首

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中