ニュース速報

ビジネス

ロイター企業調査:KYBデータ改ざん、日本企業のイメージ悪化に

2018年11月09日(金)10時01分

 11月9日、油圧機器大手のKYBによる免震・制振用ダンパーの検査データ改ざん問題について、ロイターの調査によると、自社に影響は無いとしながらも、日本企業全体のイメージ悪化を懸念する声が全体の7割を占めた。写真手前は10月19日、国土交通省で行われた会見で頭を下げる同社の斉藤圭介専務(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 9日 ロイター] - 油圧機器大手のKYB<7242.T>による免震・制振用ダンパーの検査データ改ざん問題について、ロイターの調査によると、自社に影響は無いとしながらも、日本企業全体のイメージ悪化を懸念する声が全体の7割を占めた。

調査は10月24日から11月5日にかけて実施、資本金10億円以上の中堅・大企業482社に調査票を送付した。

調査結果によると、ほとんどの企業に影響は無く、対応は検討していないとしている。

自社に影響があるとの回答は6%。「自社が関与した製品にKYB免震装置を採用」(鉄鋼)、「取引が減少」(金属)、「(KYB油圧機器を使用した)製品への信頼性低下を懸念」(輸送用機器)、「建設案件の完工までの期間が長期化」(建設)といった具体的な影響が出ている。

何らかの対応を検討している企業は5%で、「KYBに対し、過去の出荷実績を確認している」(建設)、「過去に施行した建物について、KYBに装置取り替えを要求。これからの施行について変更を検討)」(建設)といった同社製品の採用に関わる対応に加えて、「社内調査の徹底」(鉄鋼・非鉄)、「自社でも社内品質保証制度の再確認」(金属)など、自社製品の点検を行う企業もある。

ただ、データ改ざんは長期にわたり大規模に行われていた実態がある。このため、71%の企業が「日本企業全体のイメージ悪化につながる」と回答した。

「このところの日本メーカーの不祥事はメイドインジャパンの価値を著しく毀損(きそん)した」(機械)、「データ偽装は企業存続に関わる大問題との認識を強く持つべき」(精密機器)との指摘がある。

他方で、さほど大げさな問題とは捉えていない企業も29%を占め、「今回の件でコンプライアンス(法令順守)意識が高まり、改善が見込める」(化学)、「国際的にみて免震装置に対する注目度は低く、中国や韓国の一部企業への信頼性欠如とは一線を画す」(不動産)といった声もある。

(中川泉 編集:山川薫  )

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中