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テスラ会長にマードック氏最有力とFT報道、マスク氏は否定

2018年10月12日(金)05時51分

 10月10日、米電気自動車メーカー大手テスラの会長に、21世紀フォックス最高経営責任者を退任する予定のジェームズ・マードック氏が最有力候補に浮上したと、フィナンシャル・タイムズが報じた。ロンドンで2016年3月撮影(2018年 ロイター/PETER NICHOLLS)

[サンフランシスコ/ボストン 11日 ロイター] - 米電気自動車メーカー大手テスラの会長に、娯楽・メディア大手21世紀フォックス最高経営責任者(CEO)を退任する予定のジェームズ・マードック氏が最有力候補に浮上したと、フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が10日、関係筋2人の情報として報じた。

イーロン・マスクCEOは、同紙報道から約6時間後の同日2320GMT(日本時間11日午前8時20分)、「これは誤り」とツイッターに投稿、報道内容を否定した。

イーロン・マスクCEO兼会長は前月、テスラの株式非公開化計画を巡るツイッター投稿問題を巡り、会長職を退くことで米証券取引委員会(SEC)と和解している。テスラは11月13日までに後任の会長を任命する必要がある。

ジェームズ・マードック氏はメディア王ルパート・マードック氏の子息で、昨年7月にテスラの取締役会に加わった。現在は非常勤の取締役を務める。FTは同氏が会長への就任希望を示唆したと報じた。同氏に製造業分野での職務経験はなく、自動車もしくは電気自動車メーカーを率いたこともない。

マードック氏やテスラからのコメントは得られていない。21世紀フォックスはコメントを控えた。

マスク氏はテスラの顔であり、会長は同氏の強力な人柄に対処できる人物でなければならない。

企業統治コンサルティング会社ボードスパンのアビー・アドラーマンCEOは「ジェームズ・マードック氏が、マスク氏に対してそれほどの権限を確立できる人物かどうかが問題だ」と話した。

テスラは、取締役会とマスク氏の関係が深すぎるとの投資家の懸念を受けて昨年7月にマードック氏を含む外部取締役2人を追加した経緯がある。

議決権行使助言会社のグラス・ルイスおよびインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズと投資顧問会社CtWインベストメント・グループは、マードック氏を今年6月の株主総会でテスラ取締役に再選することに反対していた。

CtWは業界経験の欠如や「経営幹部や取締役としての問題のある経歴」を理由に挙げ、議決権行使助言会社2社は同氏が既に多くの企業の取締役を務めていることを問題視した。

マードック氏は現在、21世紀フォックスとニューズ・コープの取締役を務める。英スカイの取締役からは、米コムキャストによる買収を受けて9日に退任した。

グラス・ルイスのリサーチ・ディレクター、コートニー・キーティンジ氏は、スカイの取締役から退いたことで懸念はやや緩和されるものの、多方面で課題に直面するテスラの会長職は多くの時間を費やすことが求められると指摘した。

FTによると、外部からの起用もまだ検討されているという。

CtWのエグゼキュティブ・ディレクター、ディーター・ワイツェネッガー氏は、幅広い候補を検討することが重要だと強調し、取締役会が安易にマードック氏を選ぶことを投資家は警戒すべきだと述べた。

*内容を更新しました

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