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主要企業の決算発表相次ぐ、関税の影響を警戒=今週の米株式市場

2018年07月23日(月)07時54分

 7月20日、関税措置が米製造業大手に悪影響を及ぼし始めている中、今週の米国株式市場は、相次ぐ米主要企業決算の発表を受け、不透明感や警戒感が高まる可能性がある。ニューヨーク証券取引所で16日撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

[サンフランシスコ 20日 ロイター] - 関税措置が米製造業大手に悪影響を及ぼし始めている中、今週の米国株式市場は、相次ぐ米主要企業決算の発表を受け、不透明感や警戒感が高まる可能性がある。

投資家は米国と中国および主要国との貿易戦争拡大による業績への影響を懸念している。ドイツ銀行は6月、貿易摩擦が激化すれば、増益率が1─1.5%押し下げられると試算した。

米物流不動産大手プロロジスのハミッド・ モガダム最高経営責任者(CEO)は17日、政治的な駆け引きが強まり、実際の保護貿易政策に発展すれば、「われわれを含め、米国内外のあらゆる企業にとってマイナスになるだろう」との見方を示した。

米連邦準備理事会(FRB)が18日に公表した地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)では、米経済は控えめから緩やかなペースで拡大し続けたとの認識を示しながらも、12地区連銀すべてで製造業者から関税措置による影響への懸念が示されたことが明らかとなった。[nL4N1UE4UG]

関税措置の影響は、すでに発表された企業決算に表れ始めている。ハネウェルやゼネラル・エレクトリック(GE)、スタンレー・ブラック・アンド・デッカーなどの決算では、関税措置に伴うコスト増が見られた。

GEは中国から輸入される製品への関税によって最大4億ドルのコスト上昇が見込まれると発表。アルコアは関税で1500万ドルの追加コストが生じると発表した。

米企業の第2・四半期決算発表は23日から本格化。コーニングやフォード・モーター、3M、ボーイングなどが決算発表を予定している。

米国は3月、鉄鋼・アルミニウム製品に関税を課すと発表。7月1日には米中が互いに340億ドル相当の製品に関税を課した。またトランプ米大統領は中国からの輸入品5000億ドルに関税をかけることができるとの見解も示している。

3月1日以降、国際貿易への依存度が高いS&P工業株指数<.SPLRCI>は約3%安。S&P総合1500鉄鋼指数<.SPCOMSTEEL>は、米鉄鋼企業が関税による恩恵を享受したとしても世界的な需要減少で相殺されるとの見方から同期間で1%安となっている。

来週はS&P総合500種指数採用企業のうち約180社が決算を発表する予定。ほとんどの企業は中国との直接的な取引実績がないが、引き続き懸念要因を抱える可能性はある。

スワースモア・グループ(ペンシルベニア州)のポートフォリオ・マネジャー、カート・ブルナー氏は「コスト面において関税による大きな影響を受けない企業はあるものの、不透明感の影響を受ける可能性は高い」と指摘。「何が起こるかわからないことを理由に顧客が消費を抑制すると想定するかもしれない」と述べた。

先月、欧州連合(EU)による報復関税を理由にオートバイの生産を米国から海外に移すと発表したハーレー・ダビッドソンは24日に決算を発表する。

売上高の3分の2を中国向けが占めるクアルコムの決算発表は25日の予定。

ロイター
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