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EU、英国が合意ないまま離脱ならGDP1.5%押し下げ=IMF

2018年07月20日(金)10時17分

 7月19日、国際通貨基金(IMF)は、英国が欧州連合(EU)から自由貿易協定を巡る合意がないまま離脱した場合、長期的にEU経済に対し、域内総生産(GDP)の約1.5%に相当する押し下げ要因になるとの見方を示した。写真はEU離脱反対のデモに集まる人たち。6月にロンドンで撮影(2018年 ロイター/Henry Nicholls)

[ロンドン 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は19日、英国が欧州連合(EU)から自由貿易協定を巡る合意がないまま離脱した場合、長期的にEU経済に対し、域内総生産(GDP)の約1.5%に相当する押し下げ要因になるとの見方を示した。

IMFは「ユーロ圏と英国との間の緊密なつながりを踏まえると、英国のEU離脱(ブレグジット)による勝者はいない」と指摘。IMFの推計に基づくロイターの試算によると、英国の「合意なき離脱」が現実となった場合、EU経済は約2500億ドルの被害を受けるとみられる。また、域内雇用者数の0.7%に相当する100万人を超える雇用が失われる可能性がある。

これらの悪影響が表れる時期は、ブレグジット後の移行措置の期間に左右されるが、影響が出尽くすまでには少なくとも5─10年間かかる可能性があるとした。英国とEUは今年3月、離脱後も2020年末までは現状を維持する移行期間を設けることで暫定合意しているが、正式な合意にはまだ至っていない。

IMFはブレグジットにより最も大きな影響を受けるのがアイルランドで、次いでオランダ、ベルギー、ルクセンブルクとなると予想。このほかドイツも供給網を通して影響を受けるとした。通商面での影響だけを見ると、「合意なき離脱」でアイルランドのGDPは4%近く押し下げられる可能性があるが、フランス、イタリア、スペインといったユーロ圏の経済大国への影響はこれよりかなり小さいとみられる。

IMFによると、今回の分析は製造業のサプライチェーン(供給網)の途絶のほか、関税と金融サービス貿易の減少を加味しているため、従来の推計よりも悪影響が大きくなったと説明。

一方、英国がノルウェーのように欧州経済地域(EEA)に参加する「穏健なブレグジット」を選択すれば、経済への影響は軽微にとどまると指摘。メイ英首相はEEA参加を否定している。

EUと英国が工業製品の自由貿易協定を締結した場合は、EUへの長期的なマイナス影響はGDPの0.8%相当、額にして1300億ドル程度に低下するとした。このシナリオは、メイ首相が打ち出すモノの自由貿易圏構想に近い。

IMFは今回の報告書では英経済が離脱により受ける影響の試算は示していない。

ロイター
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