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中国、フランス産牛肉輸入解禁 エアバス機購入にも前向き

2018年06月26日(火)09時46分

 6月25日、中国政府は、フランス政府に対し、同国からの農作物の輸入を増やす方針を示すとともに、エアバス製航空機の購入に向けた協議を継続する意思を伝えた。写真は握手する中国の李克強首相(右)とフランスのフィリップ首相(左)。北京で代表撮影(2018年 ロイター)

[北京 25日 ロイター] - 中国政府は25日、フランス政府に対し、同国からの農作物の輸入を増やす方針を示すとともに、エアバス製航空機の購入に向けた協議を継続する意思を伝えた。また、米国との貿易摩擦が深刻化する中、市場アクセスの改善に取り組み、欧州との通商関係の強化を図る姿勢も示した。

中国の李克強首相は25日、フランスのフィリップ首相に対し、中国が年内に航空機購入を増やす計画があるとした上で、エアバス機の購入についてフランス側との協議を続ける用意があると述べた。

李首相は共同会見で、中国は近年に多数の旅客機を購入しており、これらを消化する期間が必要だとした上で、「それでもなお、フランスのエアバス社との協力を強化したいと考えている」と発言。

フィリップ首相は、李首相とともに臨んだ記者会見で、エアバス機購入を巡る1月のコミットメントについて、中国側が前向きな姿勢を示したことを喜ばしく思うと述べた。

フランスのマクロン大統領は1月に訪中した際、エアバスの「A320」184機について、中国との契約が間もなくまとまると発言。複数の関係筋がこれまでに明らかにしたところによると、先走った発言だとして、中国側の怒りを招いていた。

中国と欧州連合(EU)はそれぞれ米国との貿易摩擦の渦中にある。中国は米国の通商政策を保護主義と批判し、これに対抗するため、EUと共通の立場を見いだそうとしている。

李首相は米国との貿易摩擦について「関連する摩擦や論争は対話を通じて解決可能だと信じている。貿易戦争に勝者はいない」と述べた。

中国は25日、フランス産牛肉を輸入する合意に署名した。中国は昨年、20年以上前に欧州で牛海綿状脳症(狂牛病、BSE)が発生した後に禁止したフランス産牛肉の輸入解禁を示唆していた。

中国は米国産牛肉を報復関税適用の対象に含めている。

李首相は、中国はフランスからの農作物の輸入をさらに増やすと表明。詳細には触れなかった。

これとは別に、EU側と二国間投資協定について25日に協議した中国の劉鶴副首相は、協議後の記者会見で、中国とEUは多国間貿易システムの防衛において共通の利益を持つと表明。「双方ともに、一国主義と貿易での保護主義に強く反対し、このような行為が世界経済を不安定にし、リセッションをもたらすことを防ぐ必要があると考えている」と述べた。

一方、欧州委員会のカタイネン副委員長は会見で、EUと中国は政府補助金や技術移転の強要、サイバーセキュリティーなどの「難しい課題」を協議したと説明。中国とEUは鉄鋼やアルミニウムなどの過剰生産能力の問題を解消する必要があるとも述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
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