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英中銀が政策金利据え置き、3委員利上げ主張 8月観測高まる

2018年06月22日(金)04時15分

 6月21日、英中銀は政策金利を0.50%に据え置くことを決めた。ただ、2人と予想されていた利上げ支持が3人となり、次回8月会合の利上げ期待が高まった。英中銀の外観(2018年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は21日、金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を0.50%に据え置くことを決めた。ただ、2人と予想されていた利上げ支持が3人となり、次回8月会合の利上げ期待が高まった。

また、中銀が保有する4350億ポンドの英国債の売却開始時期について新たなガイダンスを設定。政策金利が1.5%前後に達した場合に売却を始める可能性があるとし、従来の2%から時期が早まる指針を示した。

このニュースを受け、金融政策が引き締めるとの観測から短期債利回りは急上昇。ポンドは対ドルで上昇し、2カ月ぶりの大幅な値上がりとなる勢い。

この日の政策委員会では賛成6、反対3で政策の現状維持を決定。ロイターがまとめたエコノミスト調査では賛成7、反対2と予想されていた。

今回反対に回ったのはチーフエコノミストのアンディ・ハルデーン委員で、他の2人の委員とともに0.75%への利上げを求めた。このところの労働需要などから賃上げが予想より早まる可能性があるとした。

ロイズのエコノミスト、ジーボン・ロレイ氏は「ハルデーン委員が即時利上げ主張にまわったことは予想外で、8月利上げは確実に検討される」と述べた。

金利先物が織り込む8月利上げの確率は、声明発表前に50%を割り込んでいたが、ソシエテ・ジェネラルによると、発表後は66%程度に上昇したという。

ただ、5月の政策決定を巡り、それまで高まっていた利上げ観測がカーニー総裁のハト派発言や弱い指標結果で急に立ち消えになった経緯もあり、エコノミストの多くは慎重姿勢を崩していない。

パンセオン・マクロエコノミクスのサミュエル・トゥームズ氏は「政策委はこれまでも散々利上げ期待を高めておきながら、肝心の指標の根拠が得られず結局利上げを見送り、投資家を失望させている。8月にしても指標の見極めが必要だ」と述べた。

中銀は景気認識について、経済の脆弱性が一時的にとどまるとの見通しにおおむね沿って推移しているとの判断を示した。第2・四半期の国内総生産(GDP)見通しは0.4%成長とし、5月時点での予想を据え置いた。

中銀は、資産買い入れプログラムを通して買い入れた国債のうち、償還を迎える29億ポンド(38億3000万ドル)を再投資する方針も示した。

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