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FRB当局者、将来の景気後退時に政策効果が限られる可能性を懸念

2018年02月26日(月)10時24分

 2月23日、米連邦準備理事会(FRB)当局者らは、米国が再び景気後退(リセッション)に陥った場合にこれまでと同様の対応を取っても、金利が相対的に低い状況下では効果が限られてくるとの懸念を示した。写真は米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁。2013年4月にニューヨークで撮影(2018年 ロイター/Keith Bedford)

[ニューヨーク 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者らは23日、米国が再び景気後退(リセッション)に陥った場合にこれまでと同様の対応を取っても、金利が相対的に低い状況下では効果が限られてくるとの懸念を示した。

FRBは2007─09年の金融危機と景気後退に対応し、実質ゼロ金利政策を導入するとともに3兆5000億ドル規模の債券購入を行ったが、15年終盤から徐々に政策を引き締めている。

政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは現在、1.25─1.5%で、今年3回の利上げを見込むが、目標は道半ばとの認識も示している。

このため、足元は好調さを増す米景気が将来的に冷え込んだ場合、刺激策で対応する余地が限られる可能性がある。

米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁はこの日、中銀関係者とエコノミストを対象としたシカゴ大学経営大学院開催の会議で、「再びゼロ(金利)となった場合のことを考えるよりも、逆戻りの阻止に尽力するほうが賢明」と強調。

同氏はまた、「財政赤字が膨れ上がっていることで、次回のリセッションで(財政政策が)有用となる可能性は低い」とも述べた。

ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は、同じ会議で講演し、現在必要とされているのは一層のショックアブソーバー(緩衝材)で、FF金利の引き下げ余地が主な緩衝材になると説明。「つまり、インフレ率を引き上げ、ショック前のFF金利を2%ではなく、4%にする必要がある」と語った。

また、1982年以降のリセッションはすべて、FRBの引き締めではなく「民間部門の行き過ぎ」が原因だったと分析した。

米国を代表する4人のエコノミストはこの会議で研究論文を発表、次の景気後退時にFRBは量的緩和(QE)依存を避け、利下げを中心に対処すべきとの見解を示した。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、同じ会議で、米国でゼロ金利政策が再度導入された場合に債券買い入れを再開する余地を確保することは「有用な手段」との認識を示した。

ロイター
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