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アングル:米銀、預金金利引き上げはいつか 融資金利は上昇
1月17日、米連邦準備理事会(FRB)が徐々に利上げを進めているため、米商業銀行はようやく融資金利を引き上げられるようになり、追い風を感じている。写真はニューヨークで2015年5月撮影(2018年 ロイター/Mike Segar)
[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が徐々に利上げを進めているため、米商業銀行はようやく融資金利を引き上げられるようになり、追い風を感じている。しかし預金金利の引き上げ時期を問うと、銀行幹部から返ってくる答えは「当面は予定していない」だ。
セントルイス地区連銀のデータによると、米商業銀行が預かっている預金額は現在11兆9500億ドルと、過去最高だった昨年11月の11兆9900億ドルに近い。しかし、FRBが4回利上げして政策金利を1.25─1.5%としたにもかかわらず、預金者は100ドルの預金に対して数セント(0.01ドル)しか金利をもらえていない。
バンクレート・ドット・コムの金融アナリスト、グレッグ・マクブライド氏の調査によると、米3大商業銀行のJPモルガン・チェース
ジェフリーズの銀行アナリスト、ケン・ウスディン氏によると、過去の景気拡大局面では、翌日物金利が1%ポイント上がると、預金者は金利が少しでも高い金融機関へと預金を移し始める傾向が強かった。しかし今回は、2008年に翌日物金利が実質ゼロまで下がった後、あまりにも長い時間をかけて「すずめの涙」ほどまで上昇したとあって、預金者の腰も重い。
「(預金者が動き始める)マジックナンバーは幾らなのだろう、と悩み続けている。もっと目を引くような、1.5%ポイント程度の上昇なのかもしれない」とウスディン氏は言う。
各大手行の幹部は最近の決算発表に際し、一般の預金者はまだ金利の引き上げを要求していないため、引き上げる理由がないと説明した。この状態がいつ変わるかは予想し難いが、競争圧力はまだ感じられないという。
ウェルズ・ファーゴのジョン・シュルーズベリー最高財務責任者(CFO)は、オンライン銀行の方が金利は良いが、大手行のような品ぞろえやサービスを欠いていると指摘。「預金金利はいくらか、という問題と、この預金銀行との関係性の価値はどれほどか、という問題があり」、預金者はてんびんにかけているという。
シュルーズベリー氏によると、銀行は個人富裕層や企業、他の金融機関からは、金利が低ければ他に預金をごっそり移すと圧力をかけ続けられている。これらの預金者にとっては、金利がほんの数パーセント上がっただけで大きな違いが生じるからだ。しかし大半の個人は、利息がわずかに増えるだけなのに対し、自動引き落としや払い込みを行っている口座を移すという面倒があるという。
シティグループ
JPモルガンのマリアンヌ・レイクCFOは、銀行が預金金利を引き上げる時期について聞かれ、各行は今年いっぱい「かなり自制的な姿勢を続ける」との見通しを示した。
アナリストやバンカーは、最近施行された税制改革が、引き上げのきっかけになるかもしれないと指摘している。
減税の恩恵を受ける企業は借り入れ需要が増し、銀行は融資資金を調達するために預金金利を引き上げる可能性があるという。
ジェフリーズのウスディン氏は「小口預金者が目を覚ます瞬間を待っている。だが今四半期にその瞬間が訪れそうな気はしない」と語った。
(David Henry記者)