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インタビュー:単独で買収できないM&A案件、難易度高い=JT社長

2018年01月17日(水)19時01分

 1月17日、JTの寺畠正道社長(写真)はロイターとのインタビューで、M&A(企業の合併・買収)について、経済合理性があれば積極的に行う方針を示した(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 17日 ロイター] - JT<2914.T>の寺畠正道社長は17日、ロイターとのインタビューで、M&A(企業の合併・買収)について、経済合理性があれば積極的に行う方針を示した。アジアに加え、アフリカや中東でも「ホワイトスペース」はあるとしたほか、たばこ会社以外にも、ディストリビューターなどのインフラも対象になると述べた。

一方で、1社単独で買収できないような案件については「相当難易度が高い」と指摘した。

<M&A、経済合理性あれば積極的に>

M&Aの基本方針について、寺畠社長は「我々のビジネスに適合し、将来的にリターンがしっかり見込める案件があれば、リスクを取ってでも積極的にやっていく。敵対的買収はやらない」と述べた。そのうえで「種はまき続けている。ロングリストもショートリストもある。いろいろ動いているものもある」と述べ、複数の候補リストを持ちながら検討していることを明らかにした。

JTは昨年、2000億円超を投じてインドネシアやフィリピンで買収を行った。アジアにもホワイトスペースは残されているとしたものの、「アジアだけとは限らない。アフリカや中東は、まだまだホワイトスペースがある。特にアフリカ」と述べた。

すでにJTのブランド認知度がある市場などについては「インフラをどう作って行くかも新興市場に入る時のやり方のひとつ」と述べ、たばこ会社以外にも、ディストリビューターなどが買収対象になるとの考えを示した。

ただ、「独禁法上、かなりいろいろなマーケットでぶつかって、1社単独で買収できないような案件を成就させるのは相当難易度が高い」と指摘。そのうえで「マーケットポートフォリオを拡充させていく方が、成功確率も高いし、時間も早い」とした。

市場では、英たばこ大手のインペリアル・ブランズを買収するのではないかとして取り沙汰されることも多い。インペリアルの買収については「個別案件についてはノーコメント」とした。

投資については「将来のリターンを考え、持続的な成長を考えると、シガレットだけではなく、新しいたばこ製品への投資も加速していかなければいけない。限られた投資能力をどこにかけていくかは、これからの我々の腕の見せ所」とした。

<加熱式たばこの増税分の価格転嫁、紙巻きと同じとは言えず>

2018年度税制改正では、たばこ増税が決まった。紙巻きたばこは18年10月から4年で3回増税、加熱式たばこは18年10月から5年連続で増税となる。

寺畠社長は「当然、消費に影響はあるが、複数年にわたって先の税が読めるようになったことで、手が打ちやすくなったとも言える。付加価値を上げて、コストを下げて、どのような価格戦略を取っていくかは、競合の動きを想定しながら対応していく」と述べた。

紙巻きたばこでは「増税分は価格転嫁することを基本に考えている」とする一方、加熱式たばこについては「(紙巻きと)100%同じように動くかは、今、お答えできない。加熱式たばこは新しい仕組みになるため、どのレベルにしていくかは各社とも模索していくことになる」と述べた。

加熱式たばこでは、フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の「アイコス」が先行している。フィリップ・モリスによると、アイコス(ヒートスティック)のたばこ市場でのシェアは、昨年10月1日時点で14.6%。昨年7―9月期は、フィリップモリスの日本での販売は紙巻きたばこをヒートスティックが初めて上回った。

JTは、2018年上期から加熱式たばこ「プルーム・テック」の全国販売を開始する計画。現在は「供給能力を高めることが喫緊の課題」との認識で、生産体制の強化を進めている。また、ベネフィットを伝え、吸うことができる場所を増やすことなどに注力する。

寺畠社長は、加熱式たばこが国内たばこ市場に占めるシェアは、昨年末の10%台後半から2020年には30%まで伸びるとの見通しを示した。

寺畠氏は1月1日付で執行役員社長に就いた。1985年の民営化後、最年少の社長となる。3月の株主総会後の取締役会を経て代表取締役社長に就任する。

*内容を追加しました。

(清水律子 浦中大我)

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