ニュース速報

ビジネス

8月米卸売物価指数0.2%上昇、ガソリン値上がり

2017年09月14日(木)02時24分

[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した8月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.2%上昇した。ガソリンの値上がりが目立ったほか、基調的な卸売価格も上昇している兆しがみられた。市場予想は0.3%上昇だった。

7月は0.1%下落していた。

8月の前年同月比は2.4%上昇。市場予想は2.5%上昇だった。7月は1.9%上昇していた。

変動の大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.2%上昇。7月は横ばいだった。8月の前年同月比は1.9%上昇。7月も1.9%上昇していた。

FRBは次の利上げの時期を見極めるため、インフレ動向を注視している。エコノミストらはFRBが9月19-20日の会合で4兆2000億ドル規模の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の保有資産を縮小し始める旨を発表するとみている。利上げは12月まで待つとの見方が大勢だ。

前月比の内訳はガソリンが9.5%上昇し、1月以来の大幅な値上がりとなった。7月は1.4%下落していた。0.5%上昇となったモノの卸売物価の値上がり要因のうち75%を占めた。ハリケーン「ハービー」によりテキサス州で石油精製に影響が出ており、ガソリンは今後さらに値上がりする可能性がある。

8月のPPIは主にガソリン価格の上昇で押し上げられたため、エコノミストの間では今回の結果でFRB当局者の低インフレに対する懸念が後退することはないとの見方が出ている。

RDQエコノミクス(ニューヨーク)の首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「ハリケーン『ハービー』と『イルマ』の襲来を受けエネルギー価格の上昇が9月のインフレ関連の指標で主要な注目要因になる公算が大きいが、FRBは物価に対する影響は一時的なものと見なす可能性が高い」と指摘。

また、バンク・オブ・ザ・ウエスト(サンフランシスコ)の首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「今回の結果は正しい方向に向けた一歩となる」としながらも、「コア消費者物価の上昇率をFRBの目標に押し上げるに十分なほど強くもなかったし、裾野が広がったわけでもなかった」と述べた。

食品は1.3%下落し、2015年2月以来の大幅な値下がりとなった。7月は横ばいだった。

食品とエネルギーを除くモノの卸売物価は0.2%上昇した。7月は0.1%下落していた。

サービスは0.1%上昇。消費者ローンのサービスが1.7%上昇し、全体の値上がりの半分以上を占めた。サービスは7月に0.2%下落していた。

医療サービスは2カ月連続で0.3%上昇した。こうした費用は、FRBが物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)物価指数に組み込まれている。エコノミストらは、公的医療保険(メディケア)における医者や病院への還付金の伸びが弱いことが全体を抑制していると指摘する。

コアPCE物価指数は、FRBが目標とする2%を12年中ごろから下回り続けている。7月のコアPCE物価指数は前年同月比1.4%上昇し、15年12月以来の小幅な伸びとなった。

*内容を追加して再送します。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ休戦交渉難航、ハマス代表団がカイロ離れる 7日

ワールド

米、イスラエルへ弾薬供与停止 戦闘開始後初=報道

ワールド

アングル:中国地方都市、財政ひっ迫で住宅購入補助金

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中