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多くが「比較的早期」の利上げを想定=FOMC議事要旨

2017年02月23日(木)07時29分

2月22日、米FRBが公表した1月31-2月1日のFOMC議事要旨で、多くのメンバーが雇用とインフレをめぐる指標が予想通りに推移すれば「比較的近く」利上げを実施することが適切になる可能性があるとの認識を示していたことが分かった。写真は2016年10月、ワシントンのFRB(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が公表した1月31─2月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、多くのメンバーが雇用とインフレをめぐる指標が予想通りに推移すれば「比較的早期に」利上げを実施することが適切になる可能性があるとの認識を示していたことが分かった。

議事要旨は「多くの参加者は、今後入ってくる労働市場とインフレを巡るデータが現在の予想に沿うか、あるいは上回れば、比較的近い時期にフェデラルファンド(FF)金利を再び引き上げることが適切となり得るとの見方を表明した」としている。

FRBはこの時のFOMCで政策金利の据え置きを決めている。

FRBのイエレン議長は前週、利上げを待ちすぎることは「賢明でない」と発言。夏までに利上げを検討することを強く示唆した。

パウエルFRB理事もこの日、3月利上げはあり得るとの考えを示している。

FOMCには17人の政策当局者が参加し、金利水準変更の可否を検討する。17人のうち10人が投票権を持つ。

投票権を持つメンバーの利上げに対する切迫感は希薄なもようだ。多くは物価急上昇のリスクは「わずか」に過ぎないとみており、物価圧力が高まった場合でも、対応する時間は「十分にあるだろう」としている。

FRBが昨年12月に公表した見通しによると、17年は3回の利上げが想定されている。今のところ経済指標は堅調で、多くの政策当局者が自信を強めている。

議事要旨からは、トランプ新政権の経済政策をめぐる先行き不透明感がFRB内で強まっていることも示唆された。政策当局者らはトランプ大統領の政策が経済見通しにどのように影響するかを見極めるため、新政権の政策の詳細が公表されるのを待っている。

議事要旨は「財政政策やその他の政府の政策が変わることに対して、また、実際の影響が出てくる時期やその度合いについても、参加者らは著しい先行き不透明感があることを再度強調した」としている。

PGIMフィックスト・インカムの首席投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏は「FRB当局者は、利上げペースを加速すべき兆候はないとみているようだ」と指摘。「財政刺激策の中身と時期をめぐってはかなりの不確実性が存在する」とした。

トランプ氏は金融規制の緩和や減税を実施するとしている。また、輸入に対する新たな課税やインフラ支出拡大の可能性もあり、こうした政策は物価を押し上げるかもしれない。

政策当局者らはこうした政策による経済への上向き、および下向き双方のリスクを挙げた。ほとんどは「見通しがより明確になるにはいくぶんの時間が必要となるだろう」とした。

FRBは金融危機後の深刻な景気後退に対応する過程で金利をゼロ近辺に引き下げており、それ以降はなかなか利上げできずにいる。

次回のFOMCは3月14─15日に開かれる。

*内容を追加します。

ロイター
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