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新規資金は上期並み、国内債の投資抑制を継続=16年度下期・日本生命運用計画

2016年10月28日(金)19時00分

 10月28日、日本生命保険は、2016年度下期の一般勘定運用計画で、国内金利が低位で推移する中、引き続き国内債の投資を抑制する方針を示した。プラス金利の超長期国債は、最低でも1%にならないと投資妙味に乏しいと指摘。写真は同東京本社で2011年4月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 28日 ロイター] - 日本生命保険は28日、2016年度下期の一般勘定運用計画で、国内金利が低位で推移する中、引き続き国内債の投資を抑制する方針を示した。プラス金利の超長期国債は、最低でも1%にならないと投資妙味に乏しいとし、20年債の0.4%、30年債の0.5%といった超長期債は投資対象にならないと指摘した。

一方、国内債に比べて高い利回りが期待できる外債の残高を積み増す方針だが、上期に大きく残高を積み増したヘッジ外債は、ヘッジコストの上昇で投資魅力が薄れているため、一部をオープン外債に振り向けることも検討。国内債を含めた他資産、通貨別との経済合理的な比較の中で、適正配分を検討していく。

同社が28日に開催した運用方針の説明会で明らかにした。

日本生命は、16年度下期の新規資金配分を上期実績(8800億円)並みを見込んでいる。国内金利が低位推移する中で、国内債券への投資を引き続き抑制する。国内債券資産配分は上期6400億円減となったが、下期も減少する見通し。

日銀は9月の金融政策決定会合で、新しい金融緩和の枠組み「長短金利操作付量的・質的金融緩和」を決定。マイナスの政策金利に加えて、長期金利の操作目標をゼロ%程度とする「イールドカーブ・コントロール」(YCC)政策を導入した。その結果、イールドカーブが上方にシフトしたが、「負債のコストを踏まえると、最低でもマイナス金利政策導入前の1%水準に戻らないと、投資対象にならない」(佐藤和夫財務企画部長)として、現行の金利水準での国内債投資に慎重な見方を示した。

下期のヘッジ外債投資は減少する方向だ。上期配分は2兆1900億円増と当初計画を大きく上回った。ブレグジット(英国のEU離脱)などで為替相場が不安定に推移する中、保有しているオープン外債を一部ヘッジ外債への振り替えたためだ。下期はその反動から「為替水準をみながら、ヘッジ外債からオープン外債に戻すことを計画している」(佐藤財務企画部長)という。下期の外債投資はヘッジ外債は純減、オープン外債は純増となる予定。

同社では、ヘッジ外債を円金利資産の代替資産と位置付けて、国内債券との比較優位性を考慮しながら投資してきた。しかし、内外金利差拡大でヘッジコストが上昇し、ヘッジ外債の投資妙味が薄れ、すでに米10年債は投資対象から外れている。米債投資は超長期債やエージェンシー(政府機関)債に傾斜する考えだが、米債以外に欧州債を中心に分散を図っていく。「ヘッジ外債は徐々に出口を模索していく段階。ヘッジ外債への投資資金をこれから違う資産にどうやって振り替えていくのか、今後の課題でもある」(佐藤財務企画部長)という。

2016年度末の見通し(レンジ・年度末)は以下の通り。▼はマイナス。

日本国債10年物利回り  ▼0.20─0.20%(中心値0.0%)

米10年債利回り      1.50─2.50(同2.00)

日経平均         16000─20000円(同18000円)

米ダウ          17000─21000ドル(同19000ドル)

ドル/円         100―120円(同110円)

ユーロ/円        110―130円(同120円)

(星裕康、植竹知子)

ロイター
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