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英EU離脱はリスク、世界経済支援へあらゆる政策手段=G20声明

2016年07月24日(日)19時29分

 7月24日、中国・成都で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は2日間にわたる協議を終え、共同声明を採択して閉幕した。写真は記念撮影に望むG20会議の出席者ら。代表撮影(2016年/Ng Han Guan)

[成都(中国) 24日 ロイター] - 中国・成都で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響や保護主義の高まりへの懸念を中心に議論され、世界経済の成長支援や貿易の恩恵が均等に行き渡るようにするため、あらゆる政策手段を用いることで合意し、共同声明を採択して閉幕した。

共同声明では世界経済について、回復は続いているものの望ましい水準よりも弱いままで、英国のEU離脱決定が世界経済の不確実性を増幅させていると指摘した。しかし、G20諸国は、英国の国民投票から生じる潜在的な経済および金融の影響に積極的に対処する態勢を整えている、と表明した。その上で、英国とEUが緊密なパートナーシップを構築することを期待する、などとした。

また、「最近の進展を踏まえ、われわれは強固で、持続可能で、均衡の取れた、かつ包含的な成長というわれわれの目標を達成するため、全ての政策手段―━金融、財政および構造政策━―を用いるという決意を再確認する」とした。

G20終了後の記者会見で、英国のハモンド財務相は英国のEU離脱をめぐる先行き不透明感は、英国が今後のEUとの関係についてビジョンを示し、年内により明確になれば、徐々に解消されるだろうと述べた。しかし、交渉期間の今後数年の間は、金融市場が不安定になる可能性はあると指摘した。

同財務相は「不透明感の緩和が始まるのは、われわれが思い描くEUとの交渉の進め方がより明確になった時点だろう」と述べた。また、「EU側がわれわれの考えに前向きに反応すれば、どこに向かうかについて全員が同じ考えであるという印象が今年中にもたらされる。そうなれば、企業や市場に安心感を与えるシグナルを送ることになるだろう」と語った。

また、保護主義の高まりへの懸念も多く聞かれた。共同声明には「包含的な経済成長を促進するにあたっての開かれた貿易政策と強固で安全な世界貿易システムの役割を強調し、世界の貿易を再興し、投資を引き上げるためにさらに努力する」との文言が盛り込まれた。

特に鉄鋼などの過剰生産の問題についても、貿易や労働者にマイナスの影響を及ぼしているとの認識を共有し、「共同の対応を必要とする世界的課題である」とした。

また、競争的な通貨切り下げへの根強い懸念についても話し合われ、こうした動きを回避するとの合意が再び共同声明に盛り込まれた。しかし、2月の上海でのG20会合ほど目立った問題とはならなかった。

また、中国が為替制度を一段と改善し、政策の透明性を高め、市場との対話を強化する方針も盛り込まれた。

*内容を追加しました。

ロイター
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