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日本経済「浮き沈み激しい」、追加緩和はインフレ次第=IMF幹部

2015年09月04日(金)18時55分

 9月4日、IMFアジア太平洋局のカルパナ・コーチャー副局長は、日本経済は「浮き沈みが激しい」との見方を示し、日銀の追加緩和はインフレ期待の動向次第だと指摘した。都内でインタビューに応じた(2015年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のカルパナ・コーチャー副局長は4日、都内でロイターのインタビューに応じ、日本経済は「浮き沈みが激しい」との見方を示した。一方、日銀の追加緩和の是非をめぐっては、短期的な経済の下振れに対応するのではなく、あくまでインフレ期待の動向次第だと語った。

コーチャー氏は次回の世界経済見通しで、2015─16年の日本の成長率見通しを引き下げる可能性に言及。「今年の日本経済の回復という点では、率直に言って今のところ期待外れだ」と述べた。

もっとも、日銀の金融政策は実体経済の強弱で決められるものではないとし、年内にも追加緩和との見方を否定した。日銀がインフレ率をターゲットにしていることから、「日銀の行動はインフレ期待とリンクさせられるべき」と主張した。

仮に追加緩和に踏み切る場合は、国債のさらなる買い入れや付利金利の引き下げなどを選択肢に挙げた。

一方、中国当局が人民元の基準値を引き下げたことについては「タイミングが市場参加者を驚かせた」とする一方、「市場に為替レートを決めさせるという点で、ある意味IMFがこれまで推奨してきたことと合致する」と述べた。

人民元とドルとのリンクが緩めば、中国当局にとっては金融政策運営上、一定の独立性が得られるという利点が生じるとも語った。

中国発の市場不安が広がっているが、「最近の円の動きが継続するとは誰も思っていない」と強調。円相場の乱高下は、市場のボラティリティーに対応した短期的な動きとの見方を示した。

インタビュー後に行われた講演では、中国経済には「ダウンサイドリスクがある」と認める一方、「緩やかだが、より安全な成長を達成している」と語った。

(梅川崇、木原麗花)

ロイター
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