ニュース速報

ビジネス

2月米雇用29.5万人増、失業率約6年半ぶり低水準

2015年03月07日(土)03時56分

 3月6日、2月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が29万5000人増え、予想の24万人を上回った。写真は学生向けの求人広告。サンディエゴで1月撮影(2015年 ロイター/Mike Blake)

[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日発表した2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が29万5000人増となり、予想の24万人を上回って増加した。失業率は5.5%と、2008年5月以来の低水準を記録。連邦準備理事会(FRB)の6月利上げ検討を後押しする可能性がある。

失業率は1月の5.7%から低下。予想の5.6%も下回り、多くのFRB当局者が完全雇用が実現されたと見なす水準に近づいた。

時間当たり賃金は24.78ドルと、前月の24.75ドルから0.03ドル増加。前年比では2%増となる。1月は前年比で2.2%増加していた。平均週間労働時間は34.6時間と、前月から横ばいだった。

雇用者の増加数が20万人を超えたのは12カ月連続となり、1994年以来最長を記録。また、27週間以上失業している人の数は2009年1月以来最小となった。

ウェルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「米経済はFRBが政策の正常化を開始するにふさわしい状態になったと見ている。FRBは6月に金利水準を変更する軌道に乗っていると考えている」と述べた。

FRBは17─18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、エコノミストの間では、FRBは今回のFOMC声明から政策金利の先行きを示すフォワードガイダンスの「忍耐強くいられる(patient)」との文言を削除することで、6月の利上げ開始を排除しないとのスタンスを示唆するとの見方が大勢となっている。

BTIG(ニューヨーク)の首席市場ストラテジスト、ダン・グリーンハウス氏は、「FRBは今回のFOMC声明から、『忍耐強く』との文言を削除し、年内の利上げ開始に向け準備を進めるのはほぼ確実と見られる」と述べた。

また、バンク・オブ・ザ・ウエストの首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は、「労働市場は波に乗っている。これにより、世界的な景気低迷や原油価格の急落により米経済見通しが悪化するとのFRBの懸念が和らげられ、6月に利上げに踏み切る軌道はぶれることはない」と述べた。

雇用統計発表を受け、外国為替市場でドルが主要通貨に対して上昇。ドル指数<.DXY>は11年半ぶりの高水準を付けた。

ただ、先物市場は引き続き9月の利上げ開始が織り込まれる水準となっている。

2月は労働参加率は62.8%と、前月から0.1%ポイント低下。ただ、生産年齢人口に占める就業者の割合は59.3%と、5年半ぶりの高水準で推移。本人の意に反して職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みながらパートタイムで働く人を含めたU6失業率は11.0%と、前月の11.3%から低下し、2008年9月以来の低水準をつけた。

業態別では、民間部門の雇用者数は28万8000人増加。建設業は2万9000人増、製造業は8000人増となった。政府部門も7000人増加した。

今回の雇用統計が堅調となったことで、このところの米経済成長の鈍化は、悪天候や西海岸の港湾労使交渉問題などの一時的な要因を反映したものだったとの見方が裏付けられた。

小売り大手ウォルマート・ストアーズは前月、4月に時間給の正社員およびパートタイム従業員の賃金を時間当たり少なくとも9ドルまで引き上げると発表。このほか、ディスカウント衣料小売り大手TJXや医療保険大手のエトナも賃上げを発表しており、今後、米国で賃金は上昇していくと見られる。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元カレ「超スター歌手」に激似で「もしや父親は...」と話題に

  • 4

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中