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シンガポール金融管理局、3年ぶりに金融政策を緩和
[シンガポール 14日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は14日、市場の予想通り、3年ぶりに金融政策を緩和した。
シンガポール経済は、貿易に依存する他のアジア諸国と同様、米中貿易戦争や世界経済の減速により打撃を受けている。
MASは、シンガポールドルの名目実効レート(NEER)の政策バンドの傾きを「やや緩やかにする」と表明。一部の予想よりも小幅な緩和にとどまったことが示唆された。幅・中央値は据え置いた。
MASは、金利ではなくシンガポールドルNEERの政策バンドの傾きや中央値、幅を調整して金融政策を運営している。
シンガポールドルは対米ドル
バークレイズのエコノミスト、ブライアン・タン氏は「上昇率がやや緩やかに調整された。MASは、政策が中立とは言っていないため、傾きは依然としてプラスだ」と指摘した。
ロイターのエコノミスト調査では、11人全員が政策緩和を予想していた。MASの政策緩和は2016年4月以来。
昨年2回の金融政策レビューでは、物価上昇圧力を管理し、為替相場を支援するため、政策バンドの上昇率を引き上げた。引き締めは6年ぶりだった。
この日発表された第3・四半期の国内総生産(GDP)速報値は季節調整済みで前期比年率0.6%増と市場予想を下回る伸びとなったが、リセッション(景気後退)は回避した。
MASは2019年通年のGDP伸び率が予想レンジ(0─1%)の中間付近になり、2020年には「やや改善」すると予想している。
しかし、エコノミストらは来年に追加緩和の余地があると指摘している。
コンティナム・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、Jeff Ng氏は「(MASは)先手を打つのではなく、段階的な対応を決めた」と指摘。「成長率の鈍化トレンドが2020年も続いた場合、来年も政策緩和が実施される可能性がある」との見方を示した。