ニュース速報

米小売売上高、6月は予想上回る0.4%増 月末利下げ観測変わらず

2019年07月17日(水)01時24分

[ワシントン 16日 ロイター] - 米商務省が16日発表した6月の小売売上高は前月比0.4%増と、市場予想の0.1%増を上回った。個人消費が好調であることを示唆した。軟調な設備投資の経済への影響をいくぶん相殺する可能性がある。

5月の数字は当初発表の0.5%増から0.4%増へ小幅ながら下方改定された。6月の前年同月比は3.4%増だった。

市場では今月末の利下げ観測に変更はないとみられている。ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオン(バージニア州)の企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は「底堅い個人消費が脆弱な企業投資をある程度穴埋めするのは間違いないが、米連邦準備理事会(FRB)にとって最大の懸案は海外経済と貿易戦争を巡る不確実性であるため、FRBがすぐに利下げを断念するとは考えにくい」と述べた。

自動車やガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数は前月比0.7%増だった。5月の数字は当初発表の0.4%増から0.6%増へ上方改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も近いとされる。コア指数は4月以降好調で、第2・四半期に個人消費が大幅に加速したことを示唆する。

個人消費は第1・四半期に1年ぶりの小幅な伸びだった。設備投資の弱含みや過剰在庫、米中貿易摩擦、世界経済の鈍化が製造業を圧迫する中、経済は全体的に勢いを失っているが、引き締まった労働市場環境が個人消費を下支えしている。

小売売上高の統計は、米連邦準備理事会(FRB)が今月、10年ぶりとなる利下げに踏み切るとの見方を変える材料にはならないとみられる。ただ個人消費が好調でありコア物価が上昇している兆しがあることから、市場が当初予想していた50ベーシスポイント(bp)の利下げにはならない可能性が高い。パウエルFRB議長は先週の議会証言で、米中貿易摩擦や世界経済の鈍化による経済リスクに対処するために「適切に行動する」と述べた。

アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、第2・四半期の米GDP伸び率見通しは年率1.4%増だ。第1・四半期GDPは3.1%増だった。第2・四半期GDPの速報値は26日に発表される。昨年の大規模な減税や財政出動の効果が薄れる中で米経済は減速している。

小売売上高の内訳は、自動車が2カ月連続で0.7%増加した。ガソリンスタンドは2.8%減。ガソリンの値下がりを反映した。建材は0.5%増と、前月の1.5%減から持ち直した。

衣料は0.5%増。オンライン小売は2カ月連続で1.7%増だった。家具は0.5%増えた。

外食は0.9%増。運動・娯楽は横ばいだった。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

SBG「ビジョン・ファンド」、2割レイオフへ AI

ビジネス

三井住友FG、米ジェフリーズへ追加出資で最終調整=

ワールド

EU、ロシア産LNGの輸入禁止前倒し案を協議

ワールド

米最高裁、トランプ関税巡る訴訟で11月5日に口頭弁
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中