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一部の地区連銀総裁、米経済をより楽観 利下げ根拠ないと主張
[アトランタ/ビクター(米アイダホ州) 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が11日の上院銀行委員会での証言で今後数週間以内の利下げにつながる可能性のある世界経済に対するリスクに焦点を当てたのに対して、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁とアトランタ地区連銀のボスティック総裁は、米経済は今後も拡大し、企業の見通しは明るいとの見方を示した。
こうした相反する見解は、連邦公開市場委員会(FOMC)を月末に控え、FRBが直面しているジレンマを示している。FOMCでは利下げが予想されている。
パウエル議長は11日、上院銀行委員会で証言し、今月末の利下げを改めて示唆した。前日の下院金融委員会での証言では、貿易摩擦や世界経済の減速による米景気拡大への影響に対処するため「必要に応じて行動する」と述べたが、この日は経済が「良好な立場」にあり、消費支出も依然堅調とする一方、貿易摩擦を巡る不確実性が見通しの重しになっていると指摘した。
一方、アトランタ地区連銀のボスティック総裁とリッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、経済は引き続き好調で、FRBが緩和策を講じる明確な必要性はないとの見方を示した。
ボスティック総裁は、米経済は雇用と物価の両面で「良好な状況」にあるほか、物価見通しが悪化している明確な兆候はないとし、利下げに反対する姿勢を示した。
総裁は、自身が用いるインフレ基準は「目標に近いことを示唆し、目標から大幅に遠ざかる傾向はない」と指摘。「その上、私のデータでは、インフレ期待が目標からそれていることも示されていない」とし、経済が10年連続で成長し、6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が20万人以上増加したことを考慮すると、金利据え置きが妥当との見方を示した。
バーキン総裁は「ここ数週間経営者らと話しているが、雇用を削減したり、既に進めている投資を削減をしたりはしていない」と説明し、慎重になっているものの、投資を止めたわけではないと指摘した。
ボスティック総裁とバーキン総裁は共に今年のFOMCで投票権を持っていない。
来週には地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、全米各地域の経済状況がより明確になる見通し。