ニュース速報

アングル:米S&Pが一時3000の大台、株式市場に追い風吹くか

2019年07月12日(金)07時54分

[ニューヨーク 10日 ロイター] - 10日の米国株式市場で、S&P総合500種が取引開始直後に初めて3000ポイントの大台に到達する場面があった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が同日、利下げが迫っているという市場の観測を裏付ける議会証言を行ったからだ。

S&P500はその後上値が重くなって終値は0.45%高の2993.07ポイントにとどまったが、一時的にせよ3000を付けたことで今年に入って最高値更新を続けてきた株式市場をさらに勢いづかせる可能性がある。

ディレクシオン・インベストメンツのプロダクト責任者デービッド・マッツァ氏は「3000に乗せれば、株式市場により多くの投資家が興味を寄せてもおかしくない。この種の心理的効果が投資家を市場に戻してくれれば、今の相場を維持していく上でこれまで存在しなかった追い風になり得る」と話した。

S&P500が終値で2000を始めた突破したのは2014年8月26日だったので、それから約5年で1000ポイント上がった計算だ。対照的に1000から2000までの上昇には16年余りを要し、その間には2回の景気後退があった。

もちろん同じ1000ポイントの幅でも、1000から2000までの上昇率は100%だが、2000から3000では50%と違ってくる。

S&P500の中で最も有名な銘柄の一部は、2000から3000までの上昇局面で屈指の値上がり率も記録した。例えばアマゾン・ドット・コム株は約490%、ネットフリックスは450%も高騰している。

インバネス・カウンセルのチーフ投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は、S&P500の3000乗せは「米経済や企業の強さとそれらの成長ぶりを示している。特にハイテク分野の成長力、そしてあらゆる業種の企業がコスト圧縮や製品改善のためにハイテクを利用している様子を物語っている」と指摘した。

情報技術(ハイテク)株と一般消費財株は、S&P500を年初から19%余り押し上げた原動力にもなってきた。

投資家によると、今年の上昇はFRBの政策運営姿勢がよりハト派に転じるとの見通しに起因する部分がかなり大きい。

ただサントラスト・アドバイザリー・サービシズのチーフ市場ストラテジスト、ケース・ラーナー氏は、過去1年ベースではまだ株式市場からは大幅に資金が流出していると述べ、「高値更新にもかかわらず、市場の地合いは比較的悪い」と説明する。それでも、S&P500が300台を維持すれば、様子見していた投資家の一部が再び買いを入れるだろうという。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中