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インタビュー:LIXILの瀬戸・前CEO、潮田氏の発言に違和感
[東京 25日 ロイター] - LIXILグループ<5938.T>の前最高経営責任者(CEO)の瀬戸欣哉取締役は、潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)が取締役を辞任した理由が、自らが瀬戸氏をCEO(最高経営責任者)に起用したことにあると述べたことに対し、根本的に間違った発言であり、企業のガバナンス(企業統治)欠如を露呈していると語った。
潮田氏は18日、瀬戸氏をCEOに起用したことは「最大の失敗」であり、その責任をとるために会長や取締役などすべての役職から退くと発表した。LIXILは同日、イタリアの子会社の減損により、2019年3月期の最終損益が530億円の赤字となる見込みであることも発表。潮田氏は、この減損を招いたのは瀬戸氏であるとしていた。
22日のロイターのインタビューで瀬戸氏は、CEOを選ぶのは取締役会であることから、潮田氏の発言は「根本のところで間違えている」と指摘。「潮田さんが瀬戸を選んだという発言自体がおかしくないですか、潮田さんが株主を代表して瀬戸を選んだんですか」と問いかけた。
LIXILでは、2018年10月、創業家2代目の潮田氏が取締役会議長から会長兼CEOに復帰。瀬戸氏はCEOの座から去り、今年4月からは社長からも退いている。
今年3月にマラソン・アセット・マネジメントなど複数の機関投資グループが、瀬戸氏のCEO退任に関し、コーポレートガバナンス上問題があるとして、潮田氏と山梨広一取締役兼COO(最高業務執行責任者)の取締役解任を求める臨時株主総会の開催を請求していた。
一方で瀬戸氏はCEOへの復帰を目指すことを明言。LIXILは19日に瀬戸氏と伊奈啓一郎取締役から瀬戸氏を含めた8人の取締役候補の選任の議案を6月の定時株主総会で提案する旨の報告があったことを明らかにしている。
18日の会見で潮田氏が取締役退任後もアドバイザーとして会社に残る可能性を示したことについては、株主の声をかわして、そこから外れたところで傀儡(かいらい)政権を作ろうとしているような話だと批判した。
瀬戸氏は、次のCEOには潮田氏の意向を受けない人が適当であるとし、その意味で「私がやるべきだと思う」と語った。またLIXILで起こっていることの一番根本的な問題は日本企業の典型的な問題であるとし、同社の株式を3%しか保有しない潮田氏の意向が社内で優先されていることを変えることが、改革につながると話した。
今後の展開について、8人の取締役候補の株主提案に関しては、指名委員会が潮田氏の意向に沿う人を取締役候補として決定した場合は「委任状争奪をするしかない」と語った。
(藤田淳子 編集:田巻一彦)