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ホンダ、21年中に英国・トルコの四輪生産終了 欧州生産撤退へ 

2019年02月20日(水)01時16分

[東京 19日 ロイター] - ホンダ<7267.T>は19日、2021年中に英国とトルコでの四輪車生産を終了すると発表した。同日から労使間での協議を始め、両工場を閉鎖する方向で検討する。両工場で生産している主力車種「シビック」の次期モデルから、北米など他の地域での生産に切り替え、欧州地域での生産から撤退する。

八郷隆弘社長は同日、本社で会見し、両工場での生産終了を決めた理由について「次期シビックをどこで造るか模索していた」と説明。「電動化の加速、北米と欧州の環境対応の違いなどを鑑みて決定した」と述べた。英国が欧州連合(EU)を離脱する「ブレグジットとは関係ない」と強調した。

閉鎖するのは、ハッチバックタイプのシビックを生産する英国工場(スウィンドン市)と、セダンタイプのシビックを生産するトルコ工場(コジャエリ州)。従業員数は、英国工場が約3500人、トルコ工場が約1100人。

英国工場の年間生産能力はもともと25万台だが、現在は10万台の生産ラインを休止しており、もう1つの15万台の生産ラインのみが稼働している。18年の生産実績は約16万台で、生産しているシビックの約55%が北米に輸出されており、次期モデルからは北米向けは北米で生産する。他の地域でも生産する方針だが、北米以外の生産拠点については「検討中」という。

トルコ工場の年間生産能力は5万台で、18年の生産実績は約3万8000台。このうち約2万8600台がトルコ向け、残りは欧州域内の販売に振り向けている。今後は日本などグローバル生産拠点の活用を検討していく。

ホンダは英国での生産中止決定後も、欧州地域本社は引き続き英国に置く方針。ホンダの欧州での販売は17年度で、全体の約3.5%に過ぎず、シェアも低迷していたが、八郷社長は「欧州事業からの撤退は考えていない」と述べた。

欧州市場には、日本と中国から電動車両を供給する考えで、電動化の波が「中国と同じように起きている」と指摘。電動化で先行する中国でのホンダの競争力を活用し、「欧州でのホンダブランドをもう一度構築する」と語った。

ホンダは、過剰能力の解消と車両電動化に対応した生産技術導入などを図るため、四輪車生産体制の見直しに取り組んでいる。グローバルでの生産能力は18年度末で540万台あるが、八郷社長は、今回の欧州を含め、日本、ブラジル、タイなどでの生産適正化を進め、「21年末で510万台くらいになる予定」と話した。生産体制の見直しにより、18年に97%だった生産能力に対する販売台数は今後、「100%を超えていける予定」と語った。

生産終了とは無関係だが、ブレグジットの影響で部品調達が滞る懸念もあるため、4月に生産調整を予定している。

*内容を追加しました。

(白木真紀 編集:田巻一彦)

ロイター
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