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トランプ米大統領、壁建設で非常事態宣言へ 政府閉鎖は回避
[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、議会の承認を得ずにメキシコ国境の壁建設費用を確保するため、国家非常事態を宣言する方針を表明した。大統領は、政府機関の再閉鎖回避に向け、自身の求める57億ドルの壁建設費を含まない予算案に署名することで合意した。
同予算案はこの日、上下両院で圧倒的賛成多数で可決された。15日に大統領署名のためホワイトハウスに送られる見通し。大統領が署名すれば、現行のつなぎ予算が15日に期限切れとなる前に、今会計年度末に当たる9月30日までの国土安全保障省などの予算が手当てされる。
ホワイトハウスのサンダース報道官は「トランプ大統領は予算案に署名する。さらに、大統領がこれまでに述べてきたとおり、国家非常事態宣言を含む大統領権限も行使する」と述べた。
民主党トップは大統領の方針を直ちに非難した。
民主党のペロシ下院議長は、トランプ大統領が非常事態宣言を発令すれば提訴することもあり得ると語った。
記者団から提訴するか尋ねられた下院議長は「可能性はある」とし、「すべての選択肢を精査し」、民主党は「適切に」対応すると語った。
民主党のシューマー上院院内総務は「大統領権限のひどい悪用」と非難した。
共和党のマコネル上院院内総務は、大統領の非常事態宣言に支持を表明した。
トランプ大統領は15日に国家非常事態を宣言する見通しだが、この戦略を巡ってはすでに共和党内でも見解が分かれている。
共和党穏健派のスーザン・コリンズ上院議員は、声明で「この目的で国家非常事態を宣言するのは間違っている」と指摘した。
一方、保守強硬派グループ「自由議員連盟(フリーダム・コーカス)」を率いるマーク・メドウズ下院議員は「トランプ大統領は現時点で、大統領権限を行使することを検討しなければならない。国境を守るため、大統領を支持する」と表明した。
議会側近によると、下院民主党は大統領の非常事態宣言を阻止するためにさまざまな策を講じるとみられ、訴訟を提起する可能性もある。提訴となれば、裁判所の判断が出るまで資金の転用を差し止める仮処分決定が出る可能性がある。
ホワイトハウス高官によると、トランプ政権は非常事態宣言の下で壁建設費に振り向けることが可能な既存の財源が70億ドル近くあることを確認。内訳は、財務省の不法資金没収の財源から6億ドル、国防総省の麻薬密輸阻止を目的とする資金から25億ドル、軍関連工事予算から35億ドルとなっている。
トランプ大統領がこれまで約束したメキシコ国境沿いに3200キロメートルの壁を建設するための費用は推定230億ドルで、その一部のみが賄われることになる。
ある関係筋は、ホワイトハウスや他の政府機関の弁護士たちが財源を精査し、訴訟に対抗できると判断したと明らかにした。
議会を通過した予算案は国境沿いに88.5キロメートルの物理的な障壁を建設する費用として13億7000万ドルが盛り込まれた。昨年度の国境警備関連予算と同水準となった。
*写真を更新しました。