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ロイター企業調査:IoTやAI導入4割、技術者確保は9割が困難
[東京 7日 ロイター] - 12月ロイター企業調査では、4割の企業がIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を導入していると答えたが、それが利益率向上に多いに効果を発揮しているとの回答は1割にとどまった。
導入していない企業では技術者の欠如や活用体制が追い付いていないことを理由に挙げている。自社におけるIT技術者が確保できない企業は全体の9割超に上り、先端情報技術の活用の大きな壁となっていることが浮き彫りとなった。
調査は11月20日から12月3日にかけて実施、資本金10億円以上の中堅・大企業480社に調査票を送付し、240社程度が回答した。
調査によると、IoTやAIを導入している企業は39%、導入していない企業は61%。
半数以上が導入していない状況となっている。非製造業を中心に「現在検討中」(小売)の企業も目立つものの、「社内に詳しい人材がいない」(機械)、「技術的なハードルが高い」(輸送用機器)といった理由で導入できていない様子がうかがえる。また導入には費用がかかるため「予算がない」(非鉄金属)、「投資に見合う事業拡大が見込めない」(小売)といった理由も散見される。
一方、導入している企業でも、効果的に活用されているとは言い難い現状も浮き彫りとなった。最も導入が進んでいる業種は「情報サービス・通信」の6割だが、利益率向上に結び付くような効果を「大いに発揮している」との回答は0%だった。
全業種でみると「大いに発揮」は1割、「少し発揮している」が6割、「あまり発揮していない」が3割となった。
「現在調査・検証段階で、効果についても検証中」(運輸)といった企業もあるが、「理想が先行し、実際の業務改善に必ずしも役立っていない」(機械)とのコメントもある。
IoTやAIに関する技術者が十分確保できている企業はわずか7%にすぎず、業種を問わず9割超の企業では「確保できていない」と回答している。
「技術者の確保に苦慮している」(機械)企業が多い中、「社内で既存の技術者を教育中」(紙・パルプ)といった企業もあるが、「短期間で技術者を育成できるような教育機関があるとありがたい」(化学)との声もある。
(中川泉 編集:青山敦子)