コラム

エルトン・ジョンを受け容れたモロッコ

2010年05月27日(木)16時26分

 エルトン・ジョンは今日、モロッコでコンサートを開く。イスラム教保守派はご機嫌ななめだ。


「この歌手は同性愛者として知られ、その権利を主張している」と、下院に40議席をもつ最大野党、正義発展党(PJD)の指導者、ムスタファ・ラミドは言う


 ジョンのコンサートを巡ってすったもんだはあったものの、モロッコのゲイ活動家たちは、同国はイスラム世界で最も同性愛に対して進歩的な国の一つだと主張する。


 進化のしるしは、アラビア語で同性愛を表す言葉が新しく生まれたことだと、作家で著名なゲイ活動家のアブデラ・タイアは言う。アラビア語で同性愛を表す新語「ミスリー(Mithly)」は今、これまでの蔑称「自然に反した行為」という言葉に取って代わり始めている。


 ジョンが作曲した『ライオン・キング』のテーマ、『生命の環』の歌詞にあるように、互いを大切にすることのどこが悪いのか。幸いモロッコ当局はコンサートにゴーサインを与え、ジョンは予定通り歌うことになりそうだ。

──アンドルー・スウィフト
[米国東部時間2010年05月26日(水)15時23分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 27/5/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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