コラム

マンUもジャカルタ・テロの標的に?

2009年07月31日(金)17時41分

 7月17日にインドネシアの首都ジャカルタのホテルを襲った自爆テロでは、9人が犠牲になった。ジャカルタでは4年ぶりとなる今回のテロだが、特筆すべきはテロのターゲットが外国人ビジネスマンだけではなかったことだ。アジアツアーの一環として19日からジャカルタを訪れる予定だったイングランド・プレミアリーグのサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドも標的だったようだ(マンチェスター・ユナイテッドはテロを受けてインドネシアでの試合を中止)。

 今回のホテル爆破テロの首謀者は、02~04年に起きた複数のテロ事件(200人以上が犠牲になったバリ島爆弾テロなど)との関与も疑われるイスラム過激派組織ジェマー・イスラミア(JI)の大物幹部ヌルディン・トップだとみられている。彼がアップしたと噂されるブログの投稿には、「十字軍の選手たちで構成されているチーム(マンチェスター・ユナイテッド)が、イスラム国家でプレーするのはふさわしくない」と書かれている。

 「赤い悪魔」とも呼ばれるマンチェスター・ユナイテッドは、チームが十字軍と同一視されたことで、本拠地のグレイターマンチェスター州だけでなく世界中で関心を集めている。

 それでもチームに危険が及ぶ可能性は低い。今回のテロは、チームがジャカルタに到着する数日前に発生した。またブログの投稿が本物だったとしても、事件発生後にトップが単に騒ぎを大きくしようとしただけかもしれないからだ。

 しかし長い目で見れば、今回の脅威は国際的なスポーツの世界に大きな影響を与えそうだ。有名チームは、特に国外でプレーする際、警備をさらに強化しなくてはいけなくなる。既に莫大な警備費用が必要とされているオリンピックのような大会では、今以上の出費が必要になるだろう。

──ジェームズ・ダウニー
[米国東部時間2009年07月30日(木)14時07分更新]

Reprinted with permission from "FP Passport", 24/7/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下

ビジネス

米国株式市場=ナスダック下落、与野党協議進展の報で

ビジネス

政策不確実性が最大の懸念、中銀独立やデータ欠如にも
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story