コラム

将軍のヘリもないアフガン英軍の困窮と悲劇

2009年07月16日(木)16時25分

 アフガニスタンに駐留するイギリス軍が7月9日から翌日までのわずか1日で8人の兵士を失うという悲劇に見舞われた後、兵士を無防備にしている一因として英軍のヘリコプター不足に対する批判が高まっている。おまけに今度は、英陸軍のトップまでがアフガニスタンを視察するのに米軍のヘリを借りなければならなかったことが明らかになった。


 リチャード・ダナット英陸軍参謀総長は、アフガニスタン駐留部隊の装備不足を訴えるなかで、アメリカのヘリコプターでアフガニスタンを移動していることを明らかにした。

 ダナットは、南西部ヘルマンド州のサンジンに駐留する英軍部隊を訪ねる際、米軍のブラックホークを借りなければならなかった。

 ブラック・ウオッチ連隊(英国陸軍スコットランド高地連隊)の大隊も先月、反政府武装勢力タリバンの掃討作戦「豹の爪」を実行するのにブラックホークで移動した。

 英国防省は先週、米軍に頼らなければならないほどヘリコプターが不足している事態について批判を浴びた。

「おわかりと思うが、英軍のヘリコプターがあれば、米軍のヘリコプターに乗るわけはない」と、ダナット将軍は言う。

「この問題は氷山の一角だ。アフガニスタンでの作戦規模を拡大しようとしているのだから、もっと人員や装備、そしてヘリコプターが必要になるのは当然だ」


 今朝の英議会では、ゴードン・ブラウン首相と野党・保守党のデービッド・キャメロン党首がこの問題で激論を交わした。動画で見たい人はこちらへ。面白くなるのは3分経ったころからだ。

──ジェームズ・ダウニー
[米国東部時間2009年07月15日(水)14時43分更新]


Reprinted with permission from FP Passport, 16/7/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:ウクライナ、グーグルと独自AIシステム開

ワールド

韓国大統領、クーパン情報流出で企業の罰則強化を要求

ワールド

豪政府支出、第3四半期経済成長に寄与 3日発表のG

ビジネス

消費者態度指数11月は4カ月連続の改善、物価高予想
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 3
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 4
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story