コラム

オバマがガーナでできること

2009年05月20日(水)07時17分

バラク・オバマ大統領は先週、7月にガーナを訪問すると発表した。オバマでなくでも、ガーナのような国を訪れたい理由はいくつもある。

 昨年末ガーナは民主的な大統領選挙を成功させたし、旅行産業は西アフリカでもっとも発展している(世界遺産のケープコースト要塞やその他の観光スポットだけではない。なんとバスが定刻通りに走るのだ)。すばらしいサッカーチームもある。経済成長も著しい。ガーナのブラックスター・ニュース紙は「ガーナは優れた統治、優れた経済運営、優れた法治の恩恵を受けている」と書いている。

 実はほかにも興味深い情報がある。最近、6億バレル以上の埋蔵量があるとみられる新しい油田が発見されたのだ。ガーナは将来的にアフリカでもっとも原油生産量が多い国になる可能性がある。生産が始まれば、ガーナ政府は最高で年10億ドル程度の利益を期待できる。

 人権や統治、経済運営に関して比較的問題の少ない国から石油を購入できればすばらしい。アメリカにとって3番目の石油供給元であるナイジェリアとは大違いだ。もちろん、ガーナもナイジェリアのように石油利権をめぐって内戦や汚職が続く国になる可能性はある。だがガーナは石油マネーを教育や貧困撲滅に投資することで、そうならない覚悟ができているらしい。訪問の際にオバマが話し合うにはふさわしい課題だ。

 石油がオバマのガーナ訪問の理由の1つかどうかは分からない。だが、アメリカ政府がジョン・エバンス・アッタ・ミルズ大統領と話し合う「両国と地域に関する一連の問題」に盛り込まれる可能性はあるだろう。

――エリザベス・ディッキンソン


Reprinted with permission from FP Passport,20/5/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

関税の影響を評価するのは時期尚早=FRB金融政策報

ビジネス

米株式ファンドから大幅に資金流出 中東緊迫化と関税

ビジネス

フィラデルフィア連銀製造業指数、3カ月連続マイナス

ワールド

IAEA事務局長「最大限の自制を」、イラン核施設へ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story