コラム

WHY@DOLL(ほわいどーる)、「分断」の時代のアイドルとは?

2017年07月31日(月)11時30分

WHY@DOLL「WHY@DOLL」(2017/8/1 on sale) 2nd ALBUMティザー映像- Youtube

<北海道出身で、東京を拠点に活動する二人組アイドルWHY@DOLL(ほわいどーる)。アイドルというフィルターを通して、癒しを得ることができるのは、彼女たちのライブ以上のものはなかなかない>

先日、ホリプロダクションの創業者である堀威夫氏と鼎談をする機会を得た。そのときのテーマは「中三トリオ」であった。1970年代を代表するアイドル―森昌子、桜田淳子、山口百恵の三人だが、正式なグループではない。たまたま同じオーディション番組「スター誕生!」で前後してデビューして、それぞれがブレイクしたため、そのような「愛称」が独り歩きしたのである。

堀氏と話しながら、私はこの「中三トリオ」といういわば日本のアイドルの原型の魅力を考えた。それは「人に対する丁寧な応対」と「純粋さ」である。おそらく前者は人を癒す力につながるだろうし、後者は誰からも愛される要素に転じるだろう。いずれにせよ、この二つの特徴は、中三トリオでほぼイメージを確立し、今日までも続いている日本の女子アイドルの性格だともいえる。

WHY@DOLL(ほわいどーる)の個性と魅力

北海道出身で、東京を拠点に活動する二人組アイドルWHY@DOLL(ほわいどーる)もまた「人に対する丁寧な応対」と「純粋さ」をベースにしている。WHY@DOLLは、青木ちはると浦谷はるなの二人組女子アイドルである。彼女たちのキャッチコピー「オーガニックガールズユニット」にもこの二つの特徴がよく表現されている。「オーガニック(有機的)」とは、要するに人為的な手が加えられてない素のままの個性のことだろう。オーガニックなものは、人の心や体にも優しい。そんな意味がこの「オーガニックガールズユニット」に込められている。

日本には数千人の女子アイドルが活躍している。私も相当にいろいろなアイドルを見てきたが、最も居心地のいい場所が、彼女たちのライブである。東京という大都会で、アイドルというフィルターを通して、癒しを得ることができるのは、彼女たちのライブ以上のものはなかなかない。匹敵するものとしては、新潟に拠点を置く三人組のアイドルNegicco(ねぎっこ)ぐらいかもしれない。拙著『ご当地アイドルの経済学』(イースト新書)の中で、彼女たちの活動を経済学的な視点から紹介して以来、完全にファンになってしまった。そして前述したNegiccoも所属しているT-Palette Reocrdsから、彼女たちのセカンド・アルバム「WHY@DOLL」が8月1日に発売される。


プロフィール

田中秀臣

上武大学ビジネス情報学部教授、経済学者。
1961年生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本経済思想史、日本経済論。主な著書に『AKB48の経済学』(朝日新聞出版社)『デフレ不況 日本銀行の大罪』(同)など多数。近著に『ご当地アイドルの経済学』(イースト新書)。

今、あなたにオススメ

キーワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ガザ市住民に避難指示 高層ビル爆撃

ワールド

トランプ氏、「ハマスと踏み込んだ交渉」 人質全員の

ワールド

アングル:欧州の防衛技術産業、退役軍人率いるスター

ワールド

アングル:米法科大学院の志願者増加、背景にトランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 5
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 6
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 7
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 8
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 9
    ハイカーグループに向かってクマ猛ダッシュ、砂塵舞…
  • 10
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨッ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story